・『不安の種プラス』 の最終巻が出たよ、と。
不安の種自体はこちらの日記参照で、プラスになっても内容は特に変わらなかったのだけど、
単行本描きおろし (と言って良いのかどうか) の第100話目に恐怖したので記念に日記。
「笑いと恐怖は紙一重」 的な発言はよく耳にするけれど、
その多くは恐怖側からギャグ側への侵略じゃあないですか。彼岸島とか。
ギャグ側から恐怖へと侵食するマンガといったら、
俺の中では 『がんばれ酢めし疑獄!!』 の第5巻描きおろしだろうか。
たった1ページ暗転するだけなのに、世界の虚ろさを感じさせる演出になっていて凄い。
今回不安の種プラス最終巻は、その真逆を行っていたよ。
こないだミストを見たばかりのせいもあるのかもしれないが、
不安の種読者なら分かるだろう、あの 「ページをめくりたくないなあ」 という感情が強く湧き上がった。
1度読んだエピソードばかりだから 「これから何が起こるかが分かっている」 という安心感があったのに、
そいつを根底からぶっ飛ばすには一番の描きおろしだった。
あと、不安の種プラスだけ他の単行本より 何故か表紙の女性イラスト付きで大きく取り上げられていたけど、
単行本読んでその理由が分かった気がした。たしかにこりゃ先立ってイメージを植えつけておくべき表紙イラストだ。
・アニメゴルゴ13 『檻の中の眠り』 感想。
今回は、原作を未読であれば楽しめていただろうくらいの出来栄えだったけれど、
原作を知っている身としては、やはり納得行かない出来。
性格の悪いキッカース刑務所所長とか
アニメでは囚人を私刑した上 「生まれ変わってもまたここにおいで」 と射殺してたけど、
原作では、脱走者が出ると自分の勤務成績を気にしたりするようなタイプ。
ゴルゴの食事を抜かすのも所長のアイディアで、いかにも小物なのが良かったのに、
「射殺した囚人の数を愛用の拳銃にカウントしている」とか要らない設定まで付いた。
「とりあえず残酷さを増しておけば良いや」 とでも考えたのかだろうか。
原作じゃあ、パジャマ姿をお披露目していたキャラだったとは思えない。
そして最後は屋上から転落死。そんな巨悪じゃないだろ。折角の小物所長が台無しだ。
スタッフは 「悪役は必ず退治されなければならない」 とか考えているのだろうか。
『スーパースターの共演』 でのマフィアによるゴルゴ襲撃シーンを思い出したよ。
ゴルゴの素敵な悪口もカットされていたしなあ。
犬顔の看守をブルドッグ呼ばわりはするのに、
「人間の俺がブルドッグにおあずけを食っているのかと思うと笑えてきてね」 のセリフを削るだなんて!
「俺が頭を下げたからって小男が大きくなるってものでもないぜ」 はあったけど、
アニメでは所長がそこまで小男に見えなかったり。
他 「刑務所から脱走しても回りは海に囲まれており溺れ死ぬのがオチで、
看守たちは溺死体のあがる場所まで知っている」 という生臭さもカットされたのは頂けない。
アニメオリジナルのマウス設定は、まあ良かったのではないかなあと。
原作はゴルゴ連載初期だからか、マウスがゴルゴの正体や過去の経歴について説明していたけど、
何も知らない方が自然だと思うし。
ゴルゴ達の脱走に気付いて屋上へ現れるまでも、
ちゃんと脱走計画やその経路に感づく描写を入れ忘れていないのは良かった。
アニメ版のスタッフなら 「マウスがゴルゴ達の脱走経路を知るシーンが抜けている」
みたいなヘマをやりかねないと思ったけれど、さすがにそれはなかったようで。