・「観ていないけど、あれでしょ。
海に住む不思議生物のポニョを少年が拾ってかくまうけど、
親バレ近所バレ政府バレして、最後はポニョを連れて逃げて海へ返す。
うん、E.T.。」
そんな映画とばかり思っていたら、どうも評判がおかしいので観に行った。
ややネタバレ有りで感想。
素直に気持ちを書けば、「お前の理想の世界は分かったが、それは世界が滅亡している」 。そんな感じ。
「また水没/都市かよ!」 って話です。
「古/代の魚やらも泳いでいて」 とても綺麗で、行ってみたいとは思うけど、生活するのは勘弁だ。
そして 登場人物があまりに気楽で幸せに振舞いすぎるから逆に怖い。
未知なるものや危険に対するネジが外れているように見えて、
まるで常識の通じない世界に迷い込んでしまったかのような不安を覚える。
「何故みんな命の心配をしないのか?」 とか、
「何故今後の生活について考えて暗くなったりしないのか?」 とか、違和感が強い。
全体はとても面白かったけど、狐につままれた感じが強く残る。
これを 『宮崎映画最新作』 と銘打って上映して本当に良いのか……? と。
『宮崎映画最新作と同時上映』 辺りなら多分問題なかったような。
世界観というか、世界のルールが説明されていないので訳が分からない、のかな。
現実世界とは決定的な何かが異なった世界を舞台としているのに、
その何かについて全く説明が無いので、
登場人物が 何故のほほんとしているのか分からなくて不安になる。
「出来るだけ子供向けに仕上げたから、皆のほほんとしているんじゃない?」 とも思ったけど、
それにしても異常な世界だ。絵本のキャラだって、もっと現実に近い心理をしているだろう。
他。
アクションシーンとしての見所の、ポニョが嵐の海の荒れ狂う波の上を突っ走るシーンには、
「ああ、人間と人間以外の生物は決して分かり合えないんだなあ」 という恐怖を感じたよ。
魚系の化け物が苦手なのもあるけどね。
直前のポニョが海上へ抜け出るシーンも合わせて、小学生の頃なら目をつぶりそうな迫力だった。