Mission.58 【街の灯】 感想

・遅ればせながら、今週の 『COPPELION』 の感想。

今回の話にはなかなか感想がまとまらなかったのだけど、

一言でまとめればつまり、「タイマンはったらダチじゃああっ!!」 ってことかと理解。


はてさて前回、成瀬荊の救助を断るような発言をした小津歌音。彼女の決断は、やはり自殺だった。

成瀬荊に別れを告げたその刹那、ついに高架から崩れ落ちる鉄グモと一緒に身投げした!

目を閉じ 鉄グモの崩壊に巻き込まれたはずのその身体、次に見る景色は天国か地獄か――

――しかし違和感を覚えた小津歌音が目を開けば、

見えた景色は 成瀬荊によって落下をぎりぎり食い止められた自分の姿だった!


「もういいって言ってんだろ! オレの負けだ委員長! 手を放してくれ‥‥!」

もはや成瀬荊の体力は限界のはず。

小津詩音を助けた時さえ、一人では引っ張りあげられなかったではないか。

それに成瀬荊によって助けられたところで――

「頼むよ‥! オレはもう‥‥

耐えらんねーよ‥‥ もうこんな世界で生きてく気力がねーんだ!

うっうっ‥‥ 何が‥‥ いったい何があるってんだよ‥‥

この先オレらが生きてて‥‥ なんかいいことひとつでもあんのかよォ‥‥!!


言葉を口にする小津歌音だけでなく、

ただ聞くことしかできなかった深作葵や、いつの間にか意識を取り戻していた小津詩音も涙を流す。

コッペリオンである彼女達は、いつ来るかも分からない突然死の恐怖に怯えつつ、

何もない空っぽの廃墟と化した死都:東京で 救助活動をさせられるべく産み落とされた。

これこそが小津姉妹の反逆の理由であり、存在理由にも関わる絶望なのだ。


さあさあ第2部最大の山場だよ!

この根源的な問いかけに、成瀬荊はどんな答えを返すのか!?


「そんなの‥‥ あたしにも分からんわ‥‥ でも‥‥ でもさ歌音‥‥」



ひとつだけいいことあったよ だって‥‥今おまえと友達になれたもん!

 

 


――場面転換。

鉄グモ歌音とのラストバトルを切り抜けた改造電車は、新宿へ向けて再び走り始めていた。

高円寺から新宿までは平常時なら10分もかからず到着する距離ではあるが、

電車の運転経験はないだろう梶井五次郎さんが運転手を務めていることや、

敵や放射線に襲われる危険性もないだろうことからか、電車は速度を出さずに運転されている模様。


「源内‥‥ 起きてるか?」

生存者の中で唯一被曝した源内を、黒べえ・深作葵・ノーセンス・梶井息吹さんのダンナが気遣う。

窓の外に都庁が見えたきたこと、もうすぐ新宿に着くことを知らせると、源内は身を起こした。

命の灯が消えかかる源内は、深作葵に防護服を脱がせてほしいと声をかける。もはや源内は助からないのだ――


「よし‥‥ こんで血は止まるやろ」

成瀬荊は、助けた小津詩音の手当てをしていた。

火炎放射器で焼かれ、鉄グモの崩壊に巻き込まれ、三鷹駅天井崩落の直撃を受け、貯水タンクの下敷きとなり……

数々のダメージを受け続けた小津詩音に怪我をしていない箇所は無いようで、

足の甲から手の指先や首筋まで、ほぼ全身が包帯で巻かれていた。


そんな小津詩音の隣にうなだれ座るのは、小津歌音だった。



「ありがとよ 成瀬」

上手くお礼を言えない 妹:小津詩音に代わって、姉:小津歌音が成瀬荊に礼を言う。

「うん」

成瀬荊がそれに返す。


眩しそうに顔を上げる小津歌音。その視線の先では、日が落ち始め、夕陽が射し込み始めていた。

夕陽で赤く染まる街の景色に、成瀬荊たちは黙って目をやる。

三鷹からの脱出が、小津姉妹との戦いが、コッペリオンとして生まれたことへの絶望が、2036年10月6日が終わるのだ。

小津姉妹も、深作葵も、成瀬荊も溢れる涙を拭おうとはしない。

 


「源内‥‥ さん‥‥?」

沈黙を破ったのは、深作葵だった。かすかに燃えていた源内の命の灯は、夕陽に見守られながら消えていった。

別れのキスをして、さよならの言葉をかける深作葵。

そして、終点:新宿への到着が間近であるアナウンスが街に響くのだった――

to be continued・・・・・・・・第2部完結まで、あと2話!!

 


さて。

ここまで見事に感想らしい感想を書かなかったよ! せいぜいが画像のポップアップくらい?

ここまでが今週のコッペリオンあらすじ紹介だけだったのは、ここから感想を書くからなんだぜ。

「なんであらすじと感想を別個に書くのよ?」 と言えば、それはもう今週の展開とか納得行かないからですよねー。

まあ無理やり納得したんだけどさー。そんな訳で今週感想書き上げるの遅れたりしたわけですよ。


そんな訳で、ここから書く感想は大体否定的な話です。肯定しようとしてるけど。

順を追って感想書いていくと、

生きてて辛いと思う世界に 「一緒に死のう」 と言葉をかけた小津詩音を残して自殺しようとする小津歌音って酷くね?

まあいくらコッペリオンって言ったってまだまだ高校生なんだから、

自分が生きてて辛い世界でも、妹でかつたった一人の理解者を殺せないよなあと思い直したよ。

でもまあマンガなんだから、もう少し都合良い展開になったっていいじゃんねー。

気絶した小津詩音と一緒に身投げしようとする展開じゃあダメだったの? 謎。


あと正直、感動させる場面に言うのもなんだけど、小津歌音が友達発言で救助に応えたこともよく分からんです。

「成瀬荊もコッペリオンとして生まれたことに絶望している! でも頑張ろう」 ってのならともかく、

これまでの話だと、成瀬荊から友達宣言されて 小津歌音が希望を持ったりするように感じられないんよ。

コッペリオン観も人間観も真っ向から食い違ってることしか描かれてなくね?

共通しているのは 「この世界で生きてていい事あるか分からない」 ってことくらいじゃないの?

成瀬荊から友達発言が出たのは、成瀬荊が 「タイマンはったらダチ」 主義だからという事で納得。させました。


小津詩音が言えなかった 「ありがとう」 を小津歌音が引き継ぐシーンは良かったんじゃないでしょうか。満足。

ついでなので下卑た感想でも書いておくと、小津詩音は胸とかも包帯が巻かれているのね。

ヤングマガジンは青年誌なんだから、そういうシーンとか丹念に描くべきじゃあないかな、と思った。最低の感想だな。

また、小津詩音の太股が包帯で圧迫されている描写にも着目したい! ……実に作者の井上先生に申し訳が立たない感想だ。

でも井上智徳先生は井上智徳先生で、「今週は合法的に廃墟を描きまくれた! 満足!」 とか思ってると思うのよ。

「 『COPPELION』 は背景メインのところがある」 って言ってたくらいだし。しかも夕陽に染まるバージョンだし。

……あれ、でもTwitterの井上先生を見てると、あんまり背景がどうこうって書いてないなあ。本音じゃなかったのかも。


そして第2部完結まで、あと2話である事について。

解決していない要素は、梶井息吹さんの出産と、救助ヘリの到着と、京都会議がどうなるのかと、

そして黒澤遥人と国木田師団長がどうなったかだよ。

なんか黒澤遥人と国木田師団長は 「実は助かってました」 とかなくもなさそうに思える。

それと、第2部ラストまでに 小津姉妹が死んだりするんじゃあないかと不安だよ。

謎の軍団に襲撃を受けたり、乗り込んだ車が爆発するところで第2部が終わったりするの。

それから、三島教頭のヘリが成瀬荊たちの目の前で爆発したりとか。

そして3部は謎の軍団との抗争中の場面からスタート! ……無いな。


そういや三島教頭は、いくらなんでも生徒の特殊能力が何かを把握しているのだろうから、

第3部では深作葵の能力の正体がやっと明かされるようだ。

まさか第3部が、新宿到着から救助ヘリ到着までの間のストーリーになったりもしないだろうし。

でも逆に、成瀬荊はどうして深作葵の特殊能力を知らなかったんだろう?

生徒間では秘密なのだろうか……? でも野村タエ子は小津姉妹の能力を知っていたし。

成瀬荊と黒澤遥人だけがたまたま知らなかったのか?

「特殊能力がないコッペリオンもいる」 とかで、気にしてなかったとか? これって説明されていないよね。


折角だし今思うところを書いておくと、

井上智徳先生は、張る伏線はスゲェ周到に張るものの、

伏線張らずに進める場面は 理屈無視の超フィーリングで進めるタイプに見える。

なのでその時々の展開の落差に、どうも盛り上がったりがっかりしたりだよ。

鉄グモ歌音登場はすげえ感心したんだけど、バトル内容にはがっかりしたり。


以上、そんな感じ。まあ、小津姉妹が生きててくれてよかったよね。