・「ホラーとギャグは紙一重」 という言葉において、
ホラー側からギャグ側への侵食行動を体現している 伊藤潤二先生のマンガの話。
『ギョ』 の単行本に、『大黒柱悲話』『阿弥殻断層の怪』 も収録されている。
内容説明。
『ギョ』 は、魚(ギョ)。
足の生えた魚が海から上陸してきて さあ大変、という話。
その後はいつも通りの大騒動だ!
世界が滅亡に瀕しているのに、正気で興行を続けるサーカス団の描写は必見。
このサーカス団のエピソードが、本編と何も関係してこない点も味わい深い。
『大黒柱悲話』 は4ページのショート漫画ながら、並みのギャグ漫画よりも笑える怪作。
ホラーを捨てて完全にギャグで攻めてきているように思える。
『阿弥殻断層の怪』 は、この中で一番のホラー。
岩肌に、自分の体型ぴったりにくりぬいたような どこまでも続く穴が現れて……という話。
一人 また一人と穴の中へ姿を消していく様子が怖いし、
自分と同じ形をした穴というのが強く印象に残ったよ。
おすすめは 『阿弥殻断層の怪』 。悪夢のような 漠然とした不安を感じる読後感が良かった。