好きな話だったので がっくり

・アニメゴルゴ13の感想。『殺人劇の夜』 。

「武器を持ち込めない密室で標的を射殺して、しかも捕まらずに脱出する」 という不可能狙撃もの。


原作は、狙撃状況を成立させるために ゴルゴが細かな準備を行う様子が見所の1つだった。

普段のゴルゴ13シリーズでは、狙撃に至る準備が省略されている事もあるしね。

しかしアニメ版は、この準備の様子をすっかりカット。

クラッカーやホッカイロが依頼者のカバンに入っていた理由を、

ラストに来てから 「実はゴルゴの指示によるものでしたー」 と明かす展開になってしまった。

言わば、推理マンガで 探偵が何気ないヒントからハッと閃くシーンが無いようなもの。

「どうやって不可能狙撃を成功させるのか?」「クラッカーやホッカイロには何の意味があるのか?」

そういった 視聴者の頭を悩ます伏線の重みを薄めてしまったアニメ版は頂けなかった。


タイトル 『殺人劇の夜』 は、「殺人シーンのある劇の上映中が狙撃の舞台」 という事と、

「ゴルゴがトリックや小道具を用意し、依頼者に指示して標的と接触するための偽の理由をつくる、

ゴルゴが監督した劇のような殺人」 という事のダブルミーニングなのだろう。

それには、成功した舞台にはこんな裏側が! という見せ方より、

地味な仕掛けが山場で一斉に開花する見せ方の方が合っていたと思う。


依頼者の背景や 演劇の殺人シーン以外の描写を削ってでも、ゴルゴの準備シーンに充ててほしかったよ。