・咎人 (プレイヤー) とアクセサリ (相棒) をキャラクリできるというシステムで、
キャラクターカスタマイズゲー的には大勝利した感じさえある 『フリーダムウォーズ』 をプレイした感想。
核心には触れていませんが僅かにネタバレありです。
魅力的な世界観の一端に触れられる体験版の段階では 素晴らしいゲームが到来したかに思えたものの、
蓋を開けてみれば、面白そうな設定は思いついて投入されたまま煮込まれていない要素ばかり といった印象。
例を挙げれば、
・舞台は超監視社会! → 簡単に監視の裏をかいていくメインストーリー。監視を気にしない行動ばかり取る主人公。
・資源が枯渇した世界観! → 安いアイテムを投入すると高価なアイテムが投入した数より多く作れるプラント (工場) 。
・主人公たちが住むPTは、監視しやすいよう作られた広大な複数階吹き抜け! → 移動がクソ面倒。
・アイテムはPTの住人ほぼ全員と物々交換可能! → 何を貰えるか交換するまで不明。誰がどこにいるか分かり辛い。
・監視をかいくぐり進むステージも! → 2014年にもなって 歩きとダッシュしかないメタルギアソリッドをやらされるとは。
・恩赦ポイントを稼ぐには、死と隣り合わせのボランティアに出撃だ! → 人死にのドラマも安っぽい。
・恩赦ポイントで様々な権利を解放可能! → 世界観に関する権利は序盤だけ。後半は戦闘用に強化と衣装チェンジばかり。
・戦場で敵が落とした武器を奪って使える! → 自分で持ち込んだ武器の方が確実に強い。
・ライフルなどはヘッドショット効果でダメージアップ! → 高火力なロケットランチャーで攻撃した方が速い。
・どのPTにもある巨大ロボット的な存在、アブダクター! → 1つのボランティアを除き、残りは全部敵として登場。
・アブダクターには様々な種類が! → 種類少なすぎ。「原初の三機」 というストーリー上は重要なタイプも雑魚と共通。
・アブダクターの様々なパーツを奪って装備を強化! → パーツ名が似通っており分かりづらい。
などでしょうか。
世界観や設定に対する期待は、中盤に到達する頃には大体諦めがつきます。
他にも単純にイラつく要素として、
・キャラクターカスタマイズの設定を保存しておけない。一度変えたら戻すのが大変。
・移動の基本はダッシュなのに、ダッシュはボタン押しっぱなしでレバー操作。あまり使わない歩きはレバー操作だけ。
・数百個並んだアイテムの切り替えで、カーソル移動がアイテム1個単位。ソート機能も使いづらい。
・武器の生産/強化/改良をしていると、武器の生産/強化に必要なアイテムを確認できない。
・武器の生産/改良が超運ゲー。最強武器を作ろうとした場合、スタートラインに立つまでも相当な生産回数・時間が必要。
・ショップ店員に話しかけられるスペースが狭すぎる。話しかけてからのロードが微妙に長い。
・リロード中に装備を切り替えられるが、切り替えるとリロードされていない。
・アクセサリの戦闘中セリフを変更できるが、変更できない戦闘中の固定セリフが多数あり、口調がばらばらになる。
・戦闘中になぜか表示されてる状態が少ない味方の体力ゲージ。
・マップに散ったアブダクターのパーツには、マップオブジェクトと見分けづらいようなものがある。
・マップに散ったアブダクターのパーツを仲間CPUは積極的には拾ってくれない。プレイヤーが戦闘中にも拾って回る羽目に。
・プレイヤーのアクセサリは倒れると強奪される危険性があるが、同じ扱いのはずの仲間咎人のアクセサリはノーリスク。
・プレイヤーのアクセサリが倒れていても仲間咎人は絶対に蘇生させない (蘇生対象と重なって倒れている場合を除く)
・個性の薄すぎるキャラクターたち。キャラが一番立っているのはナタリアか。平均点くらいだけど。
・エンディング後、仲間咎人として選べなくなるキャラが1人いる。それまでレベル上げて育てたのに。
など多数。
今は思い出しながら書いてるためこれしかないものの、プレイをすれば3倍以上に不満点は出てきます。
一番強く感じた問題点は、水増しとしか思えない要素が多いこと。
マップを切り替える度に短いとは言えないロード時間が入るのに、
「本筋と無関係なボランティア → 場所を変えて会話×2,3 → 本筋と無関係なボランティア」 が全体を通して多く、
「歩きとダッシュしかないメタルギアソリッド in 2014」 のようなミニゲームが挿入される回数も多く、
種類が多数あるはずのボランティアも、7割は似たような敵アブダクターを倒すか市民を奪還するかです。
PT内に点在する咎人も、外見・名前だけ違って 会話・交換可能アイテムは同じというケースが多数。
また大きな問題なのが、俗に "神エイム" と呼ばれる、CPUの射撃精度が高すぎること。
スナイパーライフル持ちのCPUによる狙撃は正確無比で、ゴルゴ13並とは言いすぎにしても、
プレイヤーが足を止めていればどんな遠距離からでも撃ち抜いてきます。
更に問題となるのは、マシンガンを持った場合。
余程早くダッシュしていない限り、こちらの移動に合わせて一発も漏らすことなく射撃されます。
ダッシュ攻撃では狙いにくいため歩いて寄って攻撃するのですが、それまでにじわじわ体力を減らされる強敵になっています。
神エイムは仲間キャラにも適用されているため便利な面もあります。
しかしこれにより、狙撃はCPUに任せてプレイヤーは近接戦闘に特化した方が明らかに得という事態が発生しています。
なお、これは推測ですが、仲間CPU咎人が荊蘇生しないのもこの神エイムがあるためではないでしょうか。
フリーダムウォーズでは 「体力ゼロ → 蘇生猶予時間 → 死亡」 と蘇生できるチャンスがあり、
蘇生には2種類の方法 (遠距離でも可能で隙も少ない荊蘇生/近距離限定で蘇生までの予備動作が長い手動蘇生) があります。
荊蘇生の方があらゆる面で優れているためプレイヤーは荊蘇生を選ぶことになりますが、
仲間CPU咎人は、なぜか荊蘇生を一切使いません。
おそらく荊蘇生をCPU咎人が使うと神エイムと相まって、プレイヤーが滅多に死ななくなり緊張感がなくなると判断されたからではないかと。
ちなみに、この仲間CPU咎人が使う性能の劣った近距離限定の手動蘇生ですが、
蘇生モーションに入ってから蘇生完了までに攻撃を受けると中断され、なおかつ蘇生成功判定は蘇生完了時点です。
つまり、いったん蘇生モーションに入ってからも中断/時間切れで死亡するケースがよくあり、これまたイラつきます。
根本的な調整ミスは、"プレイヤーの死にやすさが序盤から終盤まで変わらない" という点ではないでしょうか。
体力・防御力を上げるオプション装備はあるものの、
大型アブダクターの攻撃を喰らったり、敵咎人の一連の攻撃を喰らえば、基本的に体力の5割程度が消し飛びます。
複数の敵咎人から同時に殴られれば、体力満タンから10割が吹っ飛ぶ景色もしばしば。
さらに回復アイテムは戦場に持ち込める数が少なく、アイテム使用は隙がそこそこ大きいため乱戦中の回復は難しいです。
よってプレイヤーは敵の攻撃からの回避を第一に優先してプレイすることとなり、
折角の攻撃チャンスを放棄しなくてはならないケースがたびたび発生。
また味方を回復用荊で回復するよりも、一旦死んでから蘇生させる (体力全回復) 方が得という印象も生まれます。
死にやすさは仲間キャラでも同様で、
(仲間キャラは荊蘇生を使わないこともあり、) プレイヤーは頻繁に仲間キャラを蘇生して回らなければなりません。
放置して攻撃に専念しようにも、後半になれば敵キャラは大抵複数の敵咎人や複数の敵アブダクターとなるので、
プレイヤーへの攻撃が一気に集中 → 死亡となりやすいため、蘇生は必須です。
敵咎人も死にやすくはあるのですが (順当に進めていれば、多くは弱攻撃連打のコンボ技で7〜10割減らせる) 、
これによりプレイヤーの攻撃方法が単調になるとの問題も生まれています。
折角用意された強攻撃やチャージ技も、死にやすい敵咎人には使う理由がほとんど無いため、
(というかそれらの攻撃は隙が大きすぎて、殴るまでに敵咎人に殴られがち/避けられがち)
アブダクターが隙を見せた時に強攻撃/大きな隙を見せた時にはチャージ技、と使うしか出番がありません。
個人的に一番きついものが、アブダクターへの張り付きのしづらさでしょうか。
フリーダムウォーズには、アブダクターのパーツを破壊するための "溶断" という動作があります。
溶断の事前準備としてアブダクターに荊で張り付く必要があるものの、これが非常に張り付きづらい。
アブダクターの喰らい判定が見た目と完全に一致しているため、骨のような胴体を荊がすり抜けることが頻繁にあります。
せめて攻撃の喰らい判定と荊が張り付く喰らい判定は別々に用意しておいてほしかった……!
更には、張り付くまではパーツの溶断可能な箇所かどうかが分かりません。
溶断を狙って腕に張り付いても、腕の溶断できない箇所だったという事態もしばしば。
とりわけ汎用アブダクターの頭部パーツは、溶断可能な箇所に張り付くこと自体が異様に難しいです。
アブダクターを10秒ほどの行動不能に追い込んでも、その間に溶断可能な頭部に張り付けない事態さえよく発生します。
溶断以外の方法で攻撃を当ててもパーツを破壊できるので、そちらで狙えという事なのでしょうか……
ついでいえば、フリーダムウォーズにはボタン連打を求められる操作が3種類ありますが、
フリーダムウォーズのボタン連打は3種類とも、ビデオゲームで最悪なレベルに入ると言えます。
一言で言うなら、
「誰もが連打して 誰でも同じ結果を得られて しかも長時間連打しなければならないボタン連打は不要」 ですかね。
ゲーム開発チームには 「プレイヤーがどれだけ余計な操作をしなくて済むか」 という観点が必要ではないでしょうか。
気付いたらあまりに不満点ばかりのうえ長くなってしまったので、良い点に触れてまとめますと、
やはり主人公と相棒を一からキャラクターカスタマイズできる点が良かったですね。
自分好みに仕立てるにしろ、ネタに走るにしろ、1キャラ単独だけでのカスタマイズよりも遥かに楽しさが生まれています。
アクセサリが合成音声という設定を馴染ませることにも成功しているので、
戦闘中セリフをほぼ好き勝手に喋らせられるのは好きな方にはたまらないものがあるかと。
また基本的に殴っていれば良いので (パーツ破壊優先か倒すの優先かの違いはありますが) 戦術を考える必要はほぼありません。
武器を強化して派生した後の武器は、名前がどれも格好良いのもナイス。
都道府県別に所属PTを分けて点数を競うオンラインシステムに惹かれて購入しましたが、そこも今のところ楽しいです。
素材は良いので、この先フリーダムウォーズ2バージョンアップ版などが発売された日には、
ものすごい傑作ゲームになる可能性は秘めていると思えます。
2014.09.15追記:
細部を修正。
また、フリーダムウォーズを9月上旬までプレイしての総まとめ感想を書きました。