生活維持省

星新一作品で一番好きなものは何か、と自分に問うた時に、

「『ああ祖国よ』 か 『処刑』 か、いやいや 『白い服の男』 も 『おみやげ』 もいいな。

タイトルは忘れたけれど、スパイと万能カメラを描いた話こそ正にショートショートと呼ぶべき傑作じゃあなかったか」

など 候補は挙がれど答えは出なかったわけだけれども、

この日に星新一 ショートショートを観ていて、いきなり決まった。『生活維持省』 だ。

その前までの 『さまよう犬』 『窓』 は ぬぼらーっとしながらテレビを見ていたと言うのに、

次の話が生活維持省だと気付いた瞬間、身体を電撃が走り抜けたかのように、血液が沸騰したかのように脳内が跳ねた。

「どこが好きか?」 と尋ねられれば自分でも分からないが、

笑顔になるよりも強烈なこの身体の反応こそ、最上級の 「好き」 の気持ち。

まったく 中身の無い話で申し訳ないが、理屈ではなかった。


どこが好きかは後で考えたい。観てしばらく経つというのに頭が震えているし。