情熱の無いアニメ 『GR-GIANT ROBO-』 感想

・『ジャイアント・ロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』 を観たいけど、

その前に元のアニメを観ておけば より楽しめるのではないかと考え、『GR-GIANT ROBO-』 をレンタル。

ところがこれは、元のアニメを現代風にリメイクした別物だとか。なんてこった。

折角なので観賞。


あらすじ。

日本人青年:草間大作は、ひょんな事から巨大ロボット:GR (ジャイアントロボ) の操縦者になってしまう。

GRを奪うべく襲い来る謎の組織:GROとそのGR、大作の元に現れる不思議な少女:ヴィー、

GRの存在に踊らされる人々、新鋭テレビ局:BFNの誕生……果たして、大作の運命やいかに!?


感想。

なんていうか、「まあ仕事だから仕方が無いので作るだけ作りましたー」 的なアニメ。

何をしたいのかさっぱり分からん。作り手・製作者の情熱というものを微塵も感じられない。

巨大ロボットの迫力を見せたいの?

巨大ロボットの存在によって蠢く陰謀や振り回される人間を見せたいの?

人間ではなくなってしまった主人公の心の内を描きたいの?

人類を超越した謎の存在を描写したいの? っていうかどれも違うよね?

どこにも魅力が無いアニメでした。あ、音楽は良かったです。EDテーマとか。


また、これは面白いと言える点は、黒幕の正体。

よもやあの人が黒幕でないとは思わなかった! これには一杯食わされた。

振り返ってみれば、ちゃんと黒幕の目的を表す伏線も張ってあったし、これは上手い。

ただ、その目的がおかしいのはちょっといただけないけど。

その計画を実行するには、まず目的が達成されていると言って良いほど満たされている必要があるのでは。


これ以外に良いところは目に付かなかったよ。

メインだろうジャイアントロボ同士のバトルについては、

ジャイアントロボの存在感は感じられるのだけど、バトルらしいバトルが全然無い。

13話あって数回だけ。

それ以外の場面は、主人公と周囲の人達が作品設定の説明をしてます。キャラとして動いている ではなく説明。

このアニメで最もキャラ立ちしているのは、

「娘の莫大な治療費を稼ぐために黒幕に雇われている敵組織のボス」 ってキャラなのだけど、

この設定すらそのまま淡々とセリフで説明するだけなので、逆に薄っぺらくなってる。


そしてバトル自体も、てんで面白くないよ。

「巨大ロボットがそこにいる!」っていう質感はあるんだけれど、ただそれだけ。

他の要素は 「こんな巨大ロボットが俊敏に動けるわけないじゃないですか」 とでも言いたいのか、やたら地味。

一応ぶっといビームを出したりする、派手 (に見えるよう作られたはずの) シーンもあるのだけれど、

実際見てみると全然派手じゃない。

他のジャイアントロボと合体してパワーアップする展開もあるのだけど、

パワーアップして使えるようになった必殺技が、腕を伸ばしてのパンチ。ダルシムかよ。

それとも今の子供には、「ルフィみたいでカッコいい!」 と映るのか?


そのうえロボの操縦者は、主人公以外は棺桶のような容器に入るので、

戦闘中にできるリアクションが顔芸しかないと言う地味っぷり。

なんでこんな棺桶に入る設定を作ったのやら。

敵の女性幹部がずぶ濡れになるシーンのため? それにしてはエロくないし、謎だ。


話が最後に 「人類は愚かだから滅ぼしますね^^」 という展開を迎えたことも謎。

これに対し、お約束の 「それでも人類は素晴らしい」 という答えをしないで、

「滅びる義理が無いのでお断りします」 という程度にしか答えないのは、ある意味斬新。


ジャイアントロボが世界各地の古代遺跡に埋まっている設定の意図もよく分からん。

「原作がそうだったから」 辺りが妥当な回答か? でも原作は違うみたいだし……謎。


ついでに18歳男性である主人公の身長が、周りの人たちより異様に低いことも謎。

本当はもっと幼い年齢設定だったんじゃなかろうか。


他、「ヒロインのヴィーが可愛い!」 とでも書いておこうかと思ったけれど、

美少女であるだけであって、他には萌えも何も無いキャラだった。

OPで歌詞にあわせて手を伸ばしているシーンは良かったです。


っていうかこの30分アニメ×13話で描かれるキャラ達の魅力は、

誰一人として2時間アニメであるヱヴァ破新キャラの真木波マリの魅力にすら適っていない。

中盤まで主人公と行動を共にしていたマッケンジーさんとか、

死んだら死んだっきりで、主人公に思い返される事すら無いし。

とても30分×13話を使った内容とは思えない出来だ。


まあ酷い出来ではないと思うけど、見ても特に面白くはないアニメだったよ。