・あらすじ。
"身体から中性子を放出する" という不具合を自在にコントロールして、
飛行能力まで獲得したコッペリオン:円谷真奈。
円谷真奈と巨大ミジンコの連係プレイに為すすべも無い成瀬荊たちは、
ついに円谷真奈たちが目的とする深作葵を捕獲され、成瀬荊もまた一緒に、円谷真奈たちのアジトへと飛ばされていった。
「わかった‥‥ ‥‥おうち帰る‥‥」
円谷真奈が喋った!
第3部開始以来、一度も喋ったことのなかった円谷真奈が、とうとう喋った。
……いや、喋っただけで驚かれるってなんなんだ。赤ちゃんか。
口調もどこか赤ちゃんっぽいけれど。
そんなわけで、今週の 『COPPELION』 、「PHASE.12 【都庁の主】」 感想。
タイトルの通り、円谷真奈たちがアジトとする場所は、なんと東京都庁であった。それも展望室。
この場所取りは戦術的にも正解なのだろう。
小津姉妹が根城としていた歌舞伎町のSMクラブだかとは違い、
飛行能力の発現したコッペリオン以外には、到着すら難しい場所だろうから。
日本政府から "失敗作" として命を狙われる2年生たちには、好都合のスポットとなっているな。
連行された東京都庁の展望室で成瀬荊たちを待っていたのは、
これまでセリフだけでしか登場していなかった人物であった。
そう、円谷真奈に指示を出していた謎の人物だ!
一体何者なのか……?
「ちょっと真奈ちゃん 余計なのまで連れてきちゃダメでしょ?」
「は〜〜‥‥ 身体 痒ぃ 3日も風呂入ってないとさすがに‥‥」
「中性子が臭うわ」
その正体とは、2年生:市川迷砂。
クッチャクッチャとすこんぶを噛み、お菓子の包み紙が散乱した机の上には ドカと足を乗せる!
その靴下は穴開きで、右足親指がこんにちは。
制服をきっちり整えている円谷真奈に対して、市川迷砂は靴下の左右さえだるだるで長さが違ってしまっている。
「そうっスよ成瀬委員長 あっしが真奈ちゃんに命令したんです」 「東京に近づく奴らは全員殺せってね」
……!
うおお! いや、これは凄くいいキャラじゃあないの!
何故か一人称が 「あっし」 だけども、これは発音の問題であって、
実際に聞いたら 「あぁし」 くらいなんじゃあないかと想像したい。
小津詩音とは違って、「どこに魅力を感じる」 とはまだはっきり言えないけれど、いや、なんか素晴らしくないか?
死都と化して誰も辿り着けない東京都庁のてっぺんで、
市川迷砂と円谷真奈が二人きりで時間を共にしていると考えると、なにやらそこはかとなく耽美を感じる話じゃないか。
できればもう少し市川迷砂から円谷真奈へのコミュニケーション的ボディタッチとかあってくれたら良かったよな。
その辺がまったく無いのは次号以降のお楽しみなのか!?
「いや、井上智徳先生がそういうキャラ付けをしていないからかな」 と、俺の理性が言い捨てる。
しかしまあ、俺の理性さんにもう少し語ってもらえば、
井上先生のキャラクターメイキング能力には目を見張るものがあると思うので、
そこに費やす労力や時間を、もうちょっとだけでもストーリーを練ることにも回していただけないものでしょうか。
「『COPPELION』 は 『彼岸島』 になりました」 という感想を書いたこともあったけど、
いや正直 『彼岸島』 よりかは真面目なストーリーに当然期待しているわけなので、
今から持ち直してもらえるのであれば、もう全く持ち直していただいてほしいです。
以上終了。理性さんご退場。話の続きを見る。
今週を読む限りでは、市川迷砂の特殊能力は不明だ。
以前の感想で、「離れた場所から円谷真奈を監視しているので、千里眼のような能力を持っているのではないか」 と書いたけど、
丁度ノートパソコンを閉じていた登場シーンを見るに、
あれは普通に小型カメラや携帯電話とか、文明の利器を使っていたってことなのだろう。よく考えたらそりゃそうだよな。
円谷真奈が成瀬荊を殺さないのは、「暗黒物質 (ダークマター) が安定を失うから」 とのこと。意味不明。
この要素については、今後はっきりとSF科学でよいから科学的に解説されてほしいところだ。
そして夜を迎えて、成瀬荊と深作葵は夕食抜き。
新宿の街に取り残された小津姉妹や生存者や野村タエ子は普通に夕食を食べていたけども。
ちなみに成瀬荊たちは、東京都庁展望室から歩いて数メートルの場所にある牢屋に閉じ込められてます。……牢屋って!
何故そんなところに牢屋があるのかは不明だ。
そして話の最後に、もう1人の新キャラが姿を現した。……いや、姿というのは違うか。
「約束だよDr.コッペリウス」
「深作葵を連れて来ればうちら2年生の不具合を修復してくれるって」
なんと市川迷砂たちの黒幕は、不気味なウサギのぬいぐるみ。
その名も、ドクターコッペリウスだー!
……
やっべー前言撤回したくなってきた。何をかは秘密。ともかく黒幕あらわるよ。
当然ぬいぐるみに通信機器を埋め込んであるんだろうけど、こういうのって誰がそれをやったのか考えてしまう。
どんな人かは知らないけれど、コッペリウス博士自身がそれをやっていたら なんだかお間抜けだなあ。
「通信の時には黒魔術をイメージさせるテーブルに乗せ、ライトの当たる場所に置くように」 とか指示してるのだろうか?
けれど市川迷砂の趣味だったらそれはそれで萎える。どうしてくれるのこの展開……
ここは間を取って、巨大ミジンコの趣味ってことで落ち着けたい。
そういや巨大ミジンコは、都庁に着いてから一切姿を見せておりません。展望室に入れなかったのかしら。
そんなこんなで次号へ続く。