Mission.50 【がれきの天使】 感想

・何なんだ……この展開は……


まあそれはさておき、今週の 『COPPELION』 感想。

そういや今回、『COPPELION』 最新単行本6巻の表紙が公開されたよ。

表紙はなんと! 野村タエ子さんでしたー。完。

まあ井上智徳先生の背景大好きっぷりを考えると、1巻から6巻まで全部主役は廃墟なのかもしれないね。


はてさて前回、三鷹駅の天井を崩壊させた成瀬荊。

砕け落ちる天井の落下地点に誘い込んだ相手は、もちろん小津詩音だ!

「て‥天井ちゃん来る―――!!」

ドグォ、と凄まじい音を立て、天井はコンクリートの塊と化して落下した。

さすがのこれには、小津詩音といえども無事でも済まないか。

仮に無傷でも脱出には手間取るだろうし、電車に乗り込む成瀬荊を追い切れないだろう。

成瀬荊はふらつきつつも電車へ向かう。


しかしその背後から聞こえてきた、不気味な音の正体は――



巨大な瓦礫を投げつけようとする小津詩音だー!!

さすが現代科学の生み出した、骨肉組織に超強化の施されたコッペリオン:小津詩音!

全身からの出血は激しくとも、大したダメージは受けていないのか?

「こ‥粉々にしてやる‥‥ 何もかも‥‥!」


「あいつ‥‥電車を破壊する気だ!」 梶井息吹さんのダンナは叫ぶ!

いくら改造された電車とはいえ、こんな瓦礫が直撃したなら走行不能に陥ることは確実だ!

そしてすぐ後ろには死の風が迫っている! 走行不能とは、イコール死!

最後の最後で脱出失敗か!?


「無茶はよせ詩音! がれきを捨てろ――!!」

何かに気付いた成瀬荊は、深作葵の悲鳴とは違い、懇願の色はない言葉を叫んだ……?




 

うわあああああああああ! マジかよ!? 小津詩音、死亡かよ!?


 



「し‥ 詩音‥‥」 「すまん‥‥ 助けられんかった‥‥」


 

小津詩音の上に瓦礫を降らせたのはお前だろ! 何言ってんだよ!


成瀬荊がすげぇアホに見える。

こうなる事を分かって天井を破壊したんじゃないの?

そりゃ一旦は耐えたけど、普通は最初に瓦礫に押し潰された時にこうなる訳だし。

「コンクリートの塊で押し潰しましたけど、死ぬとは思ってませんでした」 って事なの? バカなの?


個人的に小津姉妹には最後まで生き残ってほしいが、それでも死ぬ展開が来るのは、まあ仕方が無い。

だって 「小津姉妹を東京に生かして残すと、お台場原発を爆発させて人類絶滅」 っていう状況なんだからね。

まあそれは仕方が無い。


……っていうかさあ、『COPPELION』 は出来るだけ良いとこだけ見ていきたいと思っていたから書かなかったけど、

正直 成瀬荊たちって、この 「小津姉妹生存で世界終了」 って話を忘れてるよね。

小津姉妹を放置して三鷹を脱出しようとしてるようにしか見えない。

そりゃさ、お台場原発を爆発させたって、本当に世界が死の灰に包まれるか分からない。第一師団の妄想かもしれない。

でも世界終了の可能性が現実味を帯びてあるんだから、なんとかしようと思うんじゃないの?

「人間を救うために小津姉妹をぶっ殺すのか、それとも荊の道を歩いてでも説得なり捕らえるなりするのか」 ってこと、

そこを成瀬荊たちが全く考えない展開になってるのはどうかと思う。


さすがに 「成瀬荊たちは小津姉妹を救おうとしたけど、なんか勝手に死んじゃいました」 なんて、

そんな最低展開を井上智徳先生が描いているわけではないと思いたいけど……

ともかく、続きの展開を見る。


小津詩音との死闘の末、成瀬荊はよろめきつつも電車へ歩く。

そしてもはや倒れる寸前、これは電車に乗れないか――?

そう思われた次の瞬間、倒れこむ成瀬荊の身体を受け止めたのは黒べえだった。陽動班、無事に全員乗車完了!


いやあまさか、「電車に乗れるかどうか危うい!」 って役目を成瀬荊が担当する事になるとは思わなかった。

作戦開始前に武蔵野電鉄作戦のおさらいをしていた時には、乗り遅れるのは深作葵の役目だったのに。


そこへ遅れてやってきたのは、第一師団の残りの団員たちだ。

小津歌音は姿を見せないし、白外套と小津詩音を失った団員たちは、去り行く成瀬荊たちを ただ見送るばかり。

放射線帯から逃れる術を持たない団員たちは、やがて来る死を待つほか無い。

――残念なことではあるが、これが結末なのだ。


みんなおいで! 一緒に生きよう!!

成瀬荊が呼び掛けた!

まさかの言葉に涙目になりつつも、電車へなだれ込む第一師団!

「死都:東京に残った人々を救助する」 という使命を帯びたコッペリオン:成瀬荊にとって、

今まで自分を殺そうとしていた敵さえも、助けるべき人間なのだ!

なんて感動的な場面なんだ〜〜 これ成瀬荊は急がなくても乗車できたんじゃん、って展開でなければな!



そして電車に乗り込んだ団員たちは、まるで神様を見たかのように成瀬荊の元にひざまずく。

その光景を見た 梶井息吹さんのダンナは、「天使‥‥」 と呟くのであった。

to be continued‥‥‥‥

次回へ続く。

サブタイトルの 『がれきの天使』 って、小津詩音じゃなくて成瀬荊の事だったのかよ!


っていうか……今回の 『COPPELION』 はやたら酷いな。何この最後のコマ?

まあ第一師団の生き残りが成瀬荊を崇めるのは別にいいんだよ。

死都:東京で20年も復讐のために生きてきたんだから、ちょっとまともじゃあないんだろう。

対日本政府用決戦兵器とか言って 鉄グモを大真面目に造ってたりするくらいだしね。

まあそれはいい。

けど成瀬荊のこのポーズは、なんなのこれ。

井上先生はさあ、映画 『風の谷のナウシカ』 のラストのナウシカみたいなイメージなのかもしれないけどさー、

成瀬荊がなんでそんな拝まれることに慣れた風なのよ。神気取りか。

そこは 「団員たちに崇められて戸惑う成瀬荊」 の方が自然だろうに。

「深作葵は自分が美少女である事に酔っているが、成瀬荊は人間を助ける役目に酔ってるんだな」 、

そんな風に思えて仕方の無いラストシーンだ。


ああ、黒澤遥人は本当に貴重な存在だったなあ。

ストーリーの進展役だから完全無欠に近かった主人公:成瀬荊よりも優秀に立ち回ることで、

成瀬荊の弱いところや人間味を引き出して、魅力も引き出してくれてたのに。


そういや前回 小津詩音とヒソヒソ話をしてからは、1コマたりとて登場していない 姉:小津歌音。

これはどう考えたって、小津詩音が電車を止められなかった場合に備えて別行動をしているものだろう。

どこか電車に近付けるポイントで、最大出力の電撃をおみまいしてくれようと備えているものではないかと。

さすがの武装電鉄も、電撃が直撃すれば電気系統に異常を来たす事は確実だろうし。

おそらく次回以降には、そんな小津歌音とのバトルが待ち受けているはず。


そして最後に、この小津詩音大好きブログ的には超重要な 「小津詩音は死んだのか」 問題について考える。

……っていうか考えるも何も、「生きてるに決まってるじゃん」 って結論を導き出すための話ですけど。


だってさあ、小津詩音の特殊能力は 「怪力」 ではないんよ。

小津詩音の特殊能力は、「骨肉組織の超強化」 であって、それによって怪力なだけなんだよね。

だからレンガ壁を打ち抜ける小津詩音の肉体が 瓦礫程度に押し潰される訳がない。

成瀬荊がきちんと生死を確認していないのもポイントだよね。


大体、三鷹駅の崩壊した天井っていうコンクリートの雪崩に巻き込まれて五体満足だったのに、

それの何分の一かの重さの瓦礫に押し潰されて死んでしまったら、道理が通らないよ。

さすがに天井が直撃した背中側からの出血は激しいようだけど、

身体の正面側の皮膚にはたいして傷も見えないし。


それに伏線も大好きっぽい井上智徳先生が、

ここまで引っ張った小津詩音を、「瓦礫の重さに耐え切れず死亡」 なんて殺し方する訳ない! ……といいな。

きっと 「 『彼岸島』 と出るマンガ間違えているんじゃないか」 みたいな姿になって、

小津歌音とのバトルで減速している電車の元に 電車以上の速さで走ってきて、

電車と力比べとかしてくれるはずだよ! お願いしましたよ。


「じゃあ小津詩音が再登場しなかったら、生死不明扱いかよ?」 と聞かれると……まあそういう事になるな!

みんながこのまま三鷹駅を去るし、誰も小津詩音の生死を確認できる人がいないんだよね。

……と思ったけど、いや、いた!

小津歌音なら体内イオンを感知して、遠くからでも小津詩音の生死を認識できるはずだ!

いや、まあ、「死んだらすぐに体内イオンを感知できなくなるの?」 とか、

三鷹駅から1キロ以上離れていたら、感知できないよね」 とか、

「そもそもどれが小津詩音のイオンなのか区別できるの?」 とか疑問もあるけど。

……自分で書いてて感知できるのか怪しく思えてきた。


次回のヤンマガは、12月21日の発売。今年最後のヤングマガジンだ。

小津歌音とのラストバトルが始まったところでの年越し号となりそうな予感。

小津詩音については描かれるのかどうか? 期待と不安が入り混じるなあ。

これで京都会議メインの内容だったら泣ける。