Mission.60 【朝日の中で微笑んで】 感想

・ 「熾烈な作戦から一夜明け 安らぎの朝が訪れる――。」

今回の 『COPPELION』 は、とうとう第2部の最終回を迎えたよ。

いよいよやって来た 生存者たちと成瀬荊たちの別れの時。そして、小津姉妹はどんな未来を選択するのか?

そんな今週の 『COPPELION』 感想。


第2部最終回は、10月7日の朝から始まった。

新宿駅に止まる改造電車の中で、一人目覚める深作葵。

足元に散らばっているのは、化粧道具や "マンガ" と書かれたマンガやらだ。

戦闘真っ只中だった昨日とはすっかりさよならして、まったりモードの夜を送ったように見受けられる。


そんな深作葵がアルタ前広場へ移動してみれば、そこにいたのは成瀬荊に野村タエ子。

救助ヘリへの目印に、のろしを上げていたのだった。

その様子を見た深作葵は、「キャンプファイアーだ!」 とマジボケをかます。本当に能天気だなあ。


梶井五次郎と黒べえもやってきて、救助ヘリも到着だ。

派手に喜ぶ黒べえや、嬉しそうな深作葵や救助ヘリの乗組員とは違って、成瀬荊だけはどこか寂しそう。

――言うまでもなく、三鷹からの生存者救出ミッションにおいて最も活躍したのは成瀬荊である。

黒澤遥人と共闘し、生死の淵をさまよい、第一師団や同じコッペリオンの小津姉妹と激闘を繰り広げた。

学校にいた頃は考えもしなかった、非日常の出来事の連続だったはず。

そんな昨日までの出来事が、救助ヘリ到着のこの瞬間をもって、

夢から醒めるように、燃える炎が消えるように、はっきりと過去の出来事に線引きされたわけだろう。


けれどそんな感傷をよそに、救助任務は着々と進む。三島教頭たちにとって、生存者の救出は手馴れた作業のようだ。

第一師団の生き残りをヘリに収容することさえ、トラブルの一つさえ起こさず遂行完了。

いやあまったく、これから京都へ戻ったら "大目玉を食らう" なんてものじゃ済まない罰が待ってるだろうになあ。

それを微塵も感じさせない、三島教頭や井伏中尉が渋い! ……のか?

おそらく日本政府にとって 「第一師団が生きていた!」 って事実は非常に重いことだろうから、

第一師団の救出を切り札に使って、大目に見てもらうつもりなんだろう。


そして黒べえたちの生存者は、救助ヘリに乗り込む前に 成瀬荊たちコッペリオンと別れの挨拶を交わしたよ。

まず 深作葵が取り出したものは、10月6日の朝に撮った記念写真。

黒澤遥人や源内が生きていて、まだ小津姉妹とは敵対していた頃の写真だよ。

遠い昔のように思えるものの、まだ24時間と経っていない 昨日に撮影した写真なんだぜ。

「昨日‥‥か もう遠い昔に思えるな」 との梶井五次郎さんの言葉には超うなずける。まあ読者時間では9ヶ月も前だし。


「我々が出会ってから たった4日間の出来事だった」

「我々は20年もの歳月を失った‥‥ しかし‥‥ この4日間でそれを取り戻せた気がするんだ」

そうなんだよ、僅か4日間の出来事だったんだよ!

けれどもその4日間で、梶井五次郎さんは "お台場原発メルトダウンを起こした新都電力の元社員" という呪縛から、

黒澤遥人の言葉によって解放されて、新たな一歩を踏み出せるようになった次第です。

そして黒べえ親方も、第2の人生を歩き出すことを前向きに決められたんよ!

それにノーセンスだって、乳児のお守り用ロボットとして再就職が決まったとか!

なんじゃそりゃ と思わなくもないけど、まあ第2部最終回に似つかわしくめでたい話である。


そんなノーセンスに、最後まで励まされる深作葵。「生物データ的にはもう立派な大人デス」 って……


別れの挨拶の最後を飾るのは、無事に双子を出産した梶井息吹さんと そのダンナさんのお願いだよ。

なんと、助産師を務めてくれた野村タエ子に 名付け親になってほしいと言う!

さすがにこれには野村タエ子もテンパるよ! こりゃあ予想外の展開だ。

そこにしゃしゃり出たのは 成瀬荊。

「ほんならあたしが決めたるわ!

こっちが陸くんで こっちが空ちゃんってのはどう?」 との提案に、「自衛隊みたい‥‥」 と野村タエ子たちはドン引き。


けれど 一人一人なら良い名前だし、自衛隊を連想したのは、コッペリオンの深作葵と野村タエ子だけだった様子。

梶井息吹さんとそのダンナさんは、「いい名前だね! 太郎さん」 「ああ! 気に入った」 と お気に召した御様子。

さあ! ようやく明かされた!

そう、「太郎」 という名前こそ、これまでずっと謎だった 梶井息吹さんのダンナさんの本名でございました。



キャハハハハハ! 太郎だってダッサ〜〜

深作葵が大爆笑。


……

実は俺、本名は太郎って言うんですけど、って読者がいないことを祈る。


っていうか、このシーンの意味がマジで分からない。なんなの?

井上智徳先生は 「2036年に太郎って名前はダサいんじゃね?」 って未来予測でも描きたかったの?

それとも 「深作葵は人の名前をダサいと平気で笑う子なんだよ。しかも本人の目の前で!」 と読者に伝えたかったの?

……

色々考えてはみたんだけど、

ヤンマガ編集部の独自調査で 『COPPELION』 読者であると判明した、麻生太郎元首相をDISる目的」 という説はどうか。


何を目的としたシーンなのか知らないけれど、なんか感動ぶち壊しの展開なんじゃねーのこれって。

さっき深作葵に送られた、「大人ならもっとしっかりしてくだサイ」 とのノーセンスの言葉が虚しいよな。


そんな展開はさておいて、今度は本当に最後のお別れ。

飛び立った救助ヘリから手を振る梶井息吹さんたちを、機影が見えなくなるまで見送る成瀬荊たち。

「ありがとうみんな‥‥ しっかり子供を育てるからね!」 と涙する梶井息吹さんに、

三島教頭は 「‥‥そうしてやってください それが彼女たちへのせめてもの救いになります」 と意味深な言葉をかける。



つまり‥‥ あの子らは子供を産めないのです

驚愕の事実が明かされた!

いやあ、まあ、もう、上の画像のコマはいろんな意味でこのマンガをよく表したコマだと思うんだけど、

いろんな意味については教えてあげません。

ともあれそんな彼女たちコッペリオンは、梶井息吹さんの子供たちをどんな気持ちで、

いや、その前の妊婦である梶井息吹さんをどんな想いで見ていたというのか!?

感動したい人は感動すればいいんじゃないかな。

似たような場面では、単行本6巻収録成瀬荊の人間に対する思いの語りを黙って聞く黒澤遥人の方が良かった。


そんな訳で、生存者救出の任務に成功。

成瀬荊・野村タエ子・深作葵のコッペリオンたちは、生存者救出のため都心へと向かうのでありました。

――と、その後ろに着いて来る 影2つ。



小津姉妹が、やっとその姿を見せたよ! 今回 初めてにして最後の登場だ。

そんなこんなで、次回からはコッペリオン5人組での任務が始まるようだ――

COPPELION 第2部 完

ついに都心へ――! 激動の第3部は、YM17号(3月29日発売)からスタート!!


 


はい、というわけでお疲れ様でした。

皆様は今週の 『COPPELION』 をお楽しみいただけましたでしょうか。俺はあんまり楽しめませんでした。

そんな訳で、ちょっと否定的な話を書くのよ。

そりゃあもう、今回の話で明らかにならなかった疑問点とかですよ。まあ手短に書き出すだけにしておくけど。


っていうか面倒な事を全スルーしてるよね。

成瀬荊たちの立場に立てば、三島教頭と直に会えたこの機会は、色々な疑問を解消しうる貴重なチャンスのはず。

それをもう、読者に全然説明しないし、説明しない理由も描写されてないから今回ちょっと本当ひどい。

「小津姉妹が三島教頭や第一師団と会ったらどうなるのか?」

「三島教頭に掃除係の事を報告しなくてよかったのか?」

「深作葵の能力の正体を聞かなかったのか?」

「鉄グモや国木田師団長について、報告しなくてよかったのか?」

「小津姉妹は何故成瀬荊たちと行動を共にしようと思ったのか?」

とか、気になるんですけど。小津姉妹の魅力の低下度合いも酷いし。


まあ俺は 『COPPELION』 を今後も楽しく読みたいので、

きっと、「今回は綺麗に第2部最終回をまとめるべく、質問攻め展開は描きませんでした。

作中に描かれていない場面で、成瀬荊たちは三島教頭に報告 & 質問を充分に済ませています。

その様子は第3部に回想シーンとしてきちんと描かれる予定です」 ってことだと信じてみるよ!

井上智徳先生、お疲れ様でした & ありがとうございました!


さて最後に、この小津詩音大好きブログ的には、小津詩音 & 小津歌音が生き残ってくれたうえに、

しかも第3部にはレギュラーメンバーとして活躍してくれそうな次の展開を喜ばしく思います。

そんな未来ではありますが、このブログが 『COPPELION』 第3部の感想を書くかどうかは分かりません。

これまで 『COPPELION』 感想のご愛読、ありがとうございました!

アダキの葉先生の次回作にご期待ください。