今週の 『生徒会役員共』 「#581」 感想

・今週の 『生徒会役員共』 は、津田タカトシと萩村スズがメインの回!

この2人が萩村スズの部屋にこもりっきりなら、ラブコメ展開待ったなしか?

そう思われたが、色々な妨害が入ってくる回でもあった。

そんな 「#581」 の感想。



扉絵は、本編より時間的に少し前の場面みたい。

アイスを咥えつつ、何かに気付いたようにスマホを見る萩村スズ。

どうやらスマホの画面に津田タカトシからの通知が出たみたい。

自宅とはいえ萩村スズがおそらく歩き食い&歩きスマホ状態というだらしなさは、正に夏休みモードって感じ。


最初に読んだとき、この扉絵って津田タカトシが萩村家のインターホンを鳴らした瞬間と誤読しちゃった。

でもチャイムの音は描かれておらず 「男子生徒からの急な連絡!!」 のアオリ文だから、通知が来た瞬間だろう。

インターホンだとしたら、津田タカトシは事前連絡なしに萩村家を訪れたことになってしまう。

田舎のお爺ちゃんお婆ちゃん同士じゃあないのだから、アポなし訪問はしないだろう。

ましてや津田タカトシなら、(気心の知れた萩村スズ相手でも) 女子の家に行くときは絶対連絡入れるでしょ。

まあここでは、萩村家が留守ではないこと (トイレを借りられること) を確認するためもあるのだろうけど。


そんな扉絵プロローグが終わったら、開幕 【ようこそ萩村家へ】 では津田タカトシが到着だ。

注目! 萩村スズの穿いてるものが1コマ目と扉絵とで違ってますねー。

津田タカトシを迎えるためは、短パン姿はルーズすぎると思って着替えたようだ。

上半身の服は扉絵と本編とで同じっぽいな。

自宅だからとだるだるな服を着てたりしないのが萩村スズらしさか。

これが津田コトミだったら、自宅だからとコタツ内でとはいえ全裸なことさえあったりしたのに。


津田タカトシが萩村家を訪れたのは、借りていた 『世界名作48』 という本を返しに来たそうで。

"48" の数字は "四十八手" から取ったのだろうと推測できるのが最近の氏家ト全先生の小ネタ盛り込み具合だ。

つーか48の数字が見えた時点で 『世界名作48手』 と誤読するところだった。


2本目 【ザー】 というサブタイトル、下ネタのことではないぞ。

ゲリラ豪雨なのか、津田タカトシが萩村家のトイレを借りているうちに外はあっという間に雨模様だ。

そんなわけで、今回は最後までずっと津田タカトシが萩村スズの部屋で過ごす展開だ。

このシチュエーションは、単行本1巻収録の 「#6」 以来だ!

でも 「#6」 とは違って、今回は萩村スズの愛犬ボアもいるので2人きりとはならず。

初期と違って今の萩村スズなら、ラブコメ展開やぶさかなしという気概だろうに。


なお、ボアは昔から萩村家で飼われていたので、単行本1巻時点でも作品世界的には存在していた。

ただ、ボアが漫画的に初登場したのは単行本3巻#42」 である。

(初めて存在が語られたのは、単行本3巻#40」 )

なので 「#6」 ではボアがいなかったのだよねー。

単行本1巻で姿を見せなかったのは、動物病院とかにお泊りしてたのだと思っておこう。


そんなわけで3本目 【積極的なコ】 では、萩村スズの自室にご到着。

津田タカトシが図書館へ行く目的を、夏休みの宿題を片付けるためと即座に見抜く萩村スズ!

おいおい熟年夫婦かよーという察しの良さだな。

でも実際は夫婦どころか付き合ってもいないし、2コマを使って魅力的な雰囲気を精一杯かもしだしちゃう。

こいつは津田タカトシもドキリとしちゃうかー?

まあそんな思惑は、萩村スズ母の乱入によってぶち壊されるわけですが。

普段は下ネタに完全乗り気な萩村スズ母でも、さすがにこの愛娘の魅惑的立ち姿には親心を取り戻したのかー!?

萩村スズの作った雰囲気をギャグに変えるような乱入である。

つーか 「好きにしてていいよ」 を 「好きにしていいよ」 と聞き間違えるこの空耳ネタは笑った。

これちょっと面白すぎるな。


細かい点では、「夏休みの宿題たまっているならウチでやっていきな」 のセリフも良いなあ。

「いきなさいよね」 とか 「いくといいわよ」 とかではないわけで。

女言葉でないところが、芝居がかってないというか自然さ・仲の良さがあって、じんわりとした良さがあろう。


4本目 【ドキワク勉強会】 では、勉強会がきちんと開催。

対面に座るよりも斜めに座った方が圧迫感が無く親密さを感じやすい、とはよく聞くね。

それを知らない萩村スズではないだろうけど、逆に親密さを消して平静を保つため対面形式で座ったのだろうな。

桜才学園内ではもっとそばにいたりするけど、自室で2人きりこの距離感は学校とは完全に別物でしょ!


5本目 【気になってしかたない】 は、萩村スズの部屋にいても構われてないボアのネタ。

勉強会をするにしてもラブコメ展開になるにしても、ここで部屋の中にいるボアはお邪魔虫だよなあ。

お目付け役というか変な空気にならないよう、萩村スズ母がわざわざ呼んできたわけでもないし。

今回の他のネタを読むに、津田タカトシとの関係を察してやっぱりボアが自分の意志で萩村スズの部屋にいるのかな。

ていうか、ボアの心の声がハッキリとセリフで描かれている!

あれっ、これって初めてだよね?

ボアの心情が汲み取れるような描写は過去にもあったけれど、その意識が明確に読者に伝えられたのは初だよな。

「となりにだれかいるワン」 って!

おいおい、語尾にワンを付けて喋る系の犬であったというわけかー?

まあ語尾にワンが付いているから、ボアの心の声そのままというより、第三者が訳したものと捉えることも可能かも。

(いやそこまで深読みする描写ではないと思いますが……)


そこはともかく、この4コマのオチは良いな。

「人には見えないモノが動物は見えるという話を聞いたことが‥‥」 と青ざめる萩村スズ。

視覚こそ人間より劣るようでも、犬の聴覚は人間の数倍、犬の嗅覚は人間の数千倍とも一億倍とも言われるそうで。

その鋭敏な能力による気配察知の答えは、幽霊ではなく隣の部屋で聞き耳を立てる萩村スズ母であった。

音が聞こえやすいドア越しでないのは、ドアの前で聞き耳を立ててたら急に開けられてバレた過去があるからと妄想した。

つーか、もしも萩村スズの部屋の中でいけない情事が行われてたら、萩村スズ母はどうしたというのか!?

気になるなー!

今回の話だけだったらストップをかけに乱入しそうと思えるけれど、まあ絶対最後まで聞き耳を立てるだろうなー。

情事があったと確信したなら、部屋から出てきた萩村スズに普段通りに接しておいて、夕飯には赤飯を出したりするでしょ。


6本目 【ライバルくん】 、ボアは津田タカトシと萩村スズをくっつけたいのかそうでないのか。

単行本10巻の 「#256」 では、萩村スズと津田タカトシを (物理的に) くっつけようとしてたっけ。

でも今回は、萩村スズを気遣おうとする津田タカトシをボア自身の身を挺して阻止だー。

サブタイトルからしても津田タカトシに取られまいとする動機だろう。

ここまではOKでもここは譲れない、みたいなラインがボアなりにあるのかもしれない。


ラストの7本目 【ありのままを伝えた】 では、天草シノからの通知が津田タカトシに届く。

何気に今回、天草シノも七条アリアも姿を見せない回でもあるわけだ。

細かいことを言えば、LINE風アプリの画面に誤字があって 「Shino」 の名前が 「Shiho」 になってる。

#580」 で久々に登場したトリプルブッキングの飯田シホに引っ張られたか?

まあ、単行本化の際には修正されるであろう些細なミスか。

名前に誤字が起きていても、文章だけで天草シノと伝わるのが築き上げてきた登場人物の個性だ。


オチの 「オレのとなりで寝てますよ」 ネタは過去にもあったな、単行本9巻の 「#229」 とか。

これ、シチュエーションを盛っていけば 「オレの上で寝てますよ」 みたいな派生もできそう。

でもそう派生させないのが職人技なのかも。

シチュエーションを盛るというのは複雑化とイコールでもあって、分かりやすさと引き換えのような気がするし。

それよりかは、読者にとっての分かりやすさを第一とされたのかも。