新年あけまして『劇場版 生徒会役員共2』感想 (ネタバレあり)

いよいよ『劇場版 生徒会役員共2』 が封切りとなりました!

『劇場版 生徒会役員共2』
劇場版 生徒会役員共2』


本来は2020年7月10日に公開予定であった 『劇場版 生徒会役員共2』 。

それが新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響を受け、公開は延期となっていた。

今もCOVID-19の終息は見えないけれど、二度目の延期はなく、このたび2021年1月1日の封切りとなった!

いやー、めでたい。

氏家ト全先生がマガジンSPECIALで 『生徒会役員共』 の連載を開始されてから13年半。

前回の劇場版公開から3年半程の月日を経て、再び天草シノたちが映画館に登場だ。


さて、そういうわけで 『劇場版 生徒会役員共2』 の感想です。

この感想は、1月1日の朝に一度だけ見た劇場版2を1月2日の昼に書いたものです。

ブログの映画の感想記事って、上映開始から何日経てば内容を詳細に書いて良いのか分からないな……

とりあえず、この記事は劇場版2の内容をできる限り書くつもり。

つまりこの記事の感想は、完全にネタバレありと言えそうです。

映画の内容からパンフレットの内容まで感想を書きます。

鑑賞前に内容を知りたくない方は、ここでお戻りください。


まずは劇場版2についての、ざっくりとした印象から。

一言で言ってしまえば、テレビシリーズやOADそのままのアニメ版 『生徒会役員共』 です。

特に今回は、劇場版らしさも薄い。

更に気になることに、どうにも全体的に詰めが甘いというか、全体的に雑というか……?

おそらく劇場版2制作中にコロナウィルスの影響が直撃して、満足に映画を作れなかったのでは?

そういう印象を受けた。

TVアニメ2期 『生徒会役員共*』 は、情報解禁時点で制作が完了していたと声優さんが語ってた記憶。

だからこの劇場版2もコロナウィルスの前に制作完了済みでは、と思ってたけど……どうも違うっぽい。


次に、劇場版2の内容紹介。

初めて公開されたPVでは、作中劇というか 桜才学園映画部の作った映画をアピールしていた。

だからちょっとは、マジでこの作中映画を劇場版2で見られるのかなーと期待してましたが……

実際は、この作中映画について新しい描写は一切なし、だ。

過去のOADで使われたカットしか登場しない。

まあ、ここはやっぱりそうかーと納得した。

でもひょっとして、本当は劇場版2で見せるつもりだったけど、それがコロナでダメになった可能性あるのかも。

それくらいコロナの影響を疑わせるだけの理由が、冒頭にあるのよ。

というのも、劇場版2の冒頭30分程は、既に発売済みOAD#23」 の内容まるまるそのままだからだ

マジで本当そのままOADと同じ内容が流れる。

さすがにエンディングテーマは無いしスタッフクレジットは違うけど、アニメ本編は 「#23」 と同じはず。

冒頭が劇場版1の映像そのままなのも 「#23」 と同じだし、利根君どうこうのガヤのセリフも 「#23」 と同じ。

音声や作画が手直しされてる可能性はあるけど、話の内容はガチで 「#23」 と同一だ。

最初、劇場版2ってOAD版 『生徒会役員共』 の総集編なのか? とまで思ったよー。

なお、この再放送パートも、アニメとしての話数カウントは2期の 「#26」 だった。


冒頭30分は再録として、残りの50分ほどは劇場版2で初アニメ化するエピソード。

OADと同様に、ほとんど全部が 『生徒会役員共』 の漫画にあった話のアニメ化だ。

劇場版2オリジナルとなる原作にないパートの尺は、全体で10分くらいかなー?

映画の途中途中にオリジナルシーンが差し込まれてくるので、全体的な時間は分からない。

劇場版2オリジナル要素では、さくらたんが主役だ。

さすがに劇場版2のイメージカットやらを天草シノと2人きりで飾っているだけある!

さくらたん推しの映画と言えよう。

映画の最後には、氏家ト全先生の脚本によるオリジナルエピソードがある

こちらもまた、さくらたん推しだぞ。


そうそう、"劇場版ならではの登場人物紹介" みたいなものも無いよ!

この点は劇場版1と同じだね。

あまりにも 『生徒会役員共OADなどを視聴済みの人向けに作られている。

うーむ、劇場版1を見た人は 『生徒会役員共』 を元から知っていた人ばかり、という調査結果でも出たのかなあ。


先に悪いポイントだけ書き出しちゃって良いかな?

さっき 「全体的に雑」 と書いたのは、音声とか絵の使い回しとかに雑さを感じた。

"ずば抜けてここが悪い" って箇所は無いものの、ところどころ雑な印象を受けた。

たとえば、登場人物が叫ぶシーンで声が不快に感じるほど叫びが大きいことがあったり (音量調整漏れ?) 。

たとえば、登場人物の移動シーンを一枚絵の変な拡大で表現するシーンがあったり (作画が間に合わず?) 。

特に畑ランコの動きには、狙いでなく製作期間が足りなくて不自然になったのではと思えるシーンもあった。

アニメ版の畑ランコは、人間を辞めたような挙動をすることがアニメ版では売りとなっている。

劇場版2でもそうした動きがたびたびあるけど、作画が追い付かず不本意でそうしたのではと感じたシーンもあった。

2度ある大門先生のシャワーシーンも、天丼ギャグではなくて使い回しではないかと。

ラストで天草シノたちがおーっと拳を掲げるシーンとか、オープニングの流用に見えたが気のせいか?

比較対象が過去1回しかない劇場版だからアレだけど、劇場版って普段より作画に力入ってなかったっけ……?

劇場版1のときには感じた、"さすが劇場版だけあって力が入っている" という感想は出なかった。

普段の単行本特典OADくらいの出来だ (つまり見る価値があるってことだが)

あと、スタッフロールに入る流れも妙だよね。

スタッフロールの後にも確実に話が続くと分かる流れだけど、えっこのタイミングで、みたいに突然だった。

細かいことを言えば、クラウドファンディングの名前が流れるのが思ったより早いっすよとか。

上記に挙げた全部、今までの 『生徒会役員共』 アニメでは、一度も目にしたことのない不自然さだった。

だからGoHandsの技術どうこうじゃなくて、コロナの影響で全力を尽くせなかったのではないか、と。


あぁちなみに、パンフレットに氏家ト全先生の描きおろしイラストはありません。

というか、劇場版2で色々なグッズや特典が出たけど、氏家ト全先生の描きおろしイラストはひとつもない。

これが劇場版2で一番ショックだったところかなー。

氏家ト全先生による脚本があったのは救いだけども。

パンフレット掲載のインタビューが、コロナの影響のためメールでのインタビューになるのは仕方がない。

でもさー、どうしてインタビューする相手が金澤洪充監督と主演声優さん4名のみなの?

どうして氏家ト全先生へのインタビューやQ&Aが無いの……!?

一番残念なポイントだ。

というかそれを除いても、何となくボリュームの少なさや密度の薄さを感じるパンフレットだ。

やっぱパンフレット制作にも、コロナの影響が及んでいるのかなあ。

劇場版1と劇場版2ではパンフレットの制作会社が変わっている。

コロナの影響で、パンフレットの製作費までも大きく削られてしまったのかもしれない。


あとこれは、細かすぎる点なのだけど。

パンフレットのスタッフリストで、轟ネネの "轟" の字が何か変だ。

下側に来るはずの車2つが上側に来ている。

車2つが上側に来る「轟」の字もあるの?
車2つが上側に来る「轟」の字もあるの?


こういう文字のとどろきもあるの?

"轟" って普通に変換される漢字で、機種依存文字でもないしなあ。

あるいはもしかして、スタッフリストで使用してるフォントに収録の "轟" の漢字が間違っているとか?

謎だ……


それらはさておき、良かった点!

ここが良かったなというのは、やはりアニメは絵が動いて音が出ることだな!

何だそりゃって書き方だけど、"七条アリアに性的な撫で方をされる三葉ムツミ" とか動いて聞けるわけですよ!

これはアニメでどうなるのだろう、と思ってたシーンが見れるのは単純に嬉しい。

特に、見回りシーンで人が増えて萩村スズが喜んだり、ああいう補足は素晴らしいなーと感心するばかり。

津田タカトシと畑ランコのカップルデート編とかさ、原作では天草シノたちの出番が僅かじゃあないですか。

これが劇場版2では、津田タカトシたちを天草シノたちが追う描写が追加されてて、よくぞやったと思ったよ!

原作ではページ数が決まっていて手短に終えなければならないシーンも、アニメでは充分に描写をフォローできる。

こういう、あるべきシーン/読みたかったシーンのフォローとしてアニオリが追加されてるの良いよねえ。

アニメ製作スタッフの腕の見せ所と言えるのだろうし、劇場版2ではこれがきちんと果たされている。


特に良かったなと思ったのは、「轟ネネのう.ん.ち.く」 かな。

まさに蘊蓄だし、あれらに違いがあるのかって考えたこともなかったよ。

アダルト版 『チコちゃんに叱られる』 と言えよう。

というかこの蘊蓄から、ハチャメチャな結論に辿り着くのも笑った。

聞いてる津田タカトシたちの真っ当な返しも最高と言えよう。

OADでも可能なネタだが、オチへのダイナミックな転換は劇場のスケールにふさわしいと言えよう。

「Yokoshima Teacher English」 がまたあったのも嬉しい。


劇場版2オリジナルと言えるラストも、なるほどなーって思ったよ。

津田タカトシに対するおしおき、おしおき中に窓の外を向いている天草シノの表情。

そしてアドリブなのではと思えるほど自然な、最後の天草シノと津田タカトシの掛け合い!

原作とアニメ版では、登場人物のキャラクター性というかギャグのノリとか異なっているわけですが。

あのシーンは、アニメ版天草シノとアニメ版津田タカトシとして、最大の魅力を発揮していると言えよう。


<2021.02.08:以下追記>

ここから、『劇場版 生徒会役員共2』 を4回鑑賞しての感想を追記。

4回見た結果として、最後のブラッシュアップをする前に公開せざるを得なかった感じという印象が強まった。

ちょっとした違和感が、全体のところどころに残されたままという印象。


たとえば、輪郭線が妙に太いシーンがちらほらある。

輪郭線が見えないほど細いシーンもあるのに、場面によっては妙に太い。

このちぐはぐさに違和感を受けたのだ。

この輪郭線が太いシーンって、もしかして家庭のテレビで見るOAD用に制作していたカットなのかなあ?

それを劇場版に使ったから、スクリーンで見ると妙に輪郭線が太く見えてしまったとか。


絵の使い回しという印象が強まったのは、畑ランコのアニメーション。

映画の中盤で、顔や身体などのパーツごとに分解できる一枚絵が組み合わさって動いているシーンがある。

この動きが隠し撮りパートだけで終わっていれば、そういう演出なのだなと思うだけだったはず。

でもこの動きが次のラジオドラマパートにも及ぶので、狙った演出ではなく使い回しと感じたのだ。


細かい点では、塗り漏れもあるように見えた。

ラジオドラマ告白後のシーン、廊下から覗き込む天草シノたちの指の色がおかしい。

ドアを掴む指先がドアと同じ色になっている。

というか、指の色を塗り忘れたので背景と同じ色になってしまっているのでは。


「轟ネネのう.ん.ち.く」 の津田タカトシ盗撮カットでも、あれっと思った箇所があった。

チケット発券機をタッチするシーンで、津田タカトシと背景のスライドの位置関係がおかしい。

スライドしすぎて、津田タカトシの指先が発券機の画面外をタッチしそうなくらい移動している。


良い点としては、見落としていた細かい小ネタもあったな。

「さくらたんたんさくらたん」 の章タイトルは、『プチプチたんたんプチたんたん』 のパロディだろうとか。

『プチたん』 といえば、喫茶店にいるモブ客の中に片岡ヒカリっぽい眼鏡女子がいる。

狙って似せたのか、たまたま似ただけなのか?

どちらにしても、おおっと思ったポイントだ。

また、見れば見るほど最後の氏家ト全先生による脚本のシーンは良い。

何故そうなのかは分からないが、これが氏家ト全先生にしか出せない飽きの来ない良さなのか、と思った。

<2021.02.08:追記終了>


以上、『劇場版 生徒会役員共2』 の感想でした!