今月の 『八乙女×2』 第8話 感想

・『八乙女×2』 は月刊連載で月に1度のお楽しみだけど、感想を半月後に書けば月に2度、半月に1度楽しめるとは言えまいか?

いやまあ、ブログの感想は早く書くに越したことはないと俺も思うけど。


そんなわけで、今月の 『八乙女×2』 感想。

第8話 「クリスマスの過ごし方」 の感想だ。

今月は普段通り、4コマ漫画とショート漫画が両方ある回。ページ数は16ページ。

冬のネタやクリスマスイベントがテーマの回ですよ。



開幕、クラスメイトに挨拶するていで、メタ的には読者に 「おはよ」 と挨拶する八乙女ハルル!

意外なギミックから幕開けだ! こういうメタなネタ、氏家ト全先生の全作品で過去に1度あったかどうか、それくらい珍しい。

挨拶する八乙女ハルルがマスク姿なのも、読者の方を向いてる証だと思う。

2022年現在の日本ではコロナ禍でマスク姿が一般的ですが、現代日本を舞台にした漫画でも作中ではCOVID‑19の流行してない例が多い。

氏家ト全先生の漫画でも作中に流行り病の痕跡は見られず、マスク姿の登場人物だって滅多に描かれない。

なのにここ、挨拶するネタだけがわざわざマスク姿だぜー! 読者の時勢に合わせてるってことだろう。

『八乙女×2』 は過去作と比較して色々工夫してると感じられるせいか、氏家ト全先生がのびのび描いてる印象を受ける。


2本目 【スタミナつくぞ】 もマスクのネタながら、速攻マスクは外されて流行病とこの漫画は無関係ですよ、という印象になる。

他人の使用済みマスクを表裏逆にして装着するというオチも、子供らしい知恵というより、今のご時世との無関係強調を邪推してしまった。

それはともかく、下敷きでパタパタ扇ぐ八乙女ハルルがかわいいな、下敷きも小学生らしいアイテムだし。


登場人物が小学生メインの漫画でも、大人である教師も欠かさずオチ要員になる! それが氏家ト全先生のバランス感覚なのだろうか。

【乾燥の季節】 、担任の伏見先生が加齢のせいか指が滑ってプリントの束をめくれないというネタだ。

これ、ギャグの種類としてはあるあるネタだよな……

小学生が主人公の他ギャグマンガで、担任の先生がこうして主人公とも絡まず一人でプリントに苦戦するネタってあまり見ない気がする。

少年誌連載で小学生が主人公の漫画でも、小学生目線ではなく保護者や教師の視点もある……! これは 『八乙女×2』 の個性と言えそう。


次の 【なら食べる】 、甘い言い訳を即座に出せるあたり八乙女ハルルらしい。本木アユムは口を挟む暇もなく、ついてこれないスピード感だ。


【こーゆー話】 と 【そーゆー話】 は、学校トイレのネタ。

学校トイレでの会話劇が描かれていると、氏家ト全先生の漫画だなと実感してしまう……

下ネタ多めの作風ゆえとはいえ、学校のトイレで会話するシーンを描いた回数が最多の漫画家さんは、氏家ト全先生なのでは。


前半の最終ページは1ページ漫画! 話題はクリスマスだ。

八乙女ハルルたちは小学生につき、1人くらいサンタクロースを信じている登場人物がいるかと思ったが……

"サンタ信じてくつ下ぶら下げていた" のは "小さい頃" の話だと! 小学生だろ、充分小さいだろ! と思ってしまった。

この小さい頃サンタを信じてたと発言するのが、登場人物で一番幼く見えそうな本木アユムなのもポイント高いね。

6年生ともなればサンタ信じてるは無い、その主張を補強するための発言主っぽいので。


後半からは、八乙女カイ家でのクリスマス編!

"ホワイトクリスマス…… ……か" とかっこつけて言う八乙女ハルル! それゆえに子供っぽい! 大変良いですね。

親同士が仲良いからと、八乙女ハルルとハルル母が八乙女カイ家にお邪魔してるシチュエーションで後半が幕開けだ。


八乙女カイと八乙女ハルルの母親の下の名前が判明!

八乙女カイの母親の名前が八乙女ナルミ、八乙女ハルルの母親の名前が八乙女ハルコ

八乙女ハルルの母親は娘と一字違いやんけ! これ絶対子供の頃のあだ名は八乙女ハルルと同じだったパターンでしょ。

"ハルコ" の名前を入れ替えたら "コハル" になって、氏家ト全先生のご友人であられる桜場コハル先生のコハルと一致するね。

特に関係はないと思うけど。


八乙女ナルミって名前は、何か気になるな……

氏家ト全先生の過去作の登場人物、「横島ナルコ」 と 「山伏マルミ」 の下の名前が合わさった印象だからか?

そういや八乙女ハルコと八乙女ナルミは、元々別の苗字だったかもしれないのよな (夫が苗字変わった可能性もあるけど) 。

結婚前の旧姓も明かされたりするのだろうか。


クリスマスケーキに舌鼓を打つ八乙女ハルルのページを見よ!

この朗らかに、半分食べかけのケーキと交換しようとか言ってる様子、純粋に可愛すぎないか?

普段の表情とは全然違う! おそらく一般的に求められるヒロインの顔つきというやつだ!

その表情が、この悪気ない悪だくみのシーンで発揮されるとこも良い。

ケーキ2つとも欲しいとは言ってなくて1個の半分は八乙女カイにあげるから問題ない、八乙女ハルルはそう思っていそう。

ドSな台詞を言うときもこの表情しそうだなとか、吹き出しの中をドSな台詞に置き換えるに適していそうなコマだな、俺はそう思った。


全然関係ないけど、12月24日にクリスマスケーキを食べてるのに、その前の夕食はおでんなのな。クリスマスチキンなどの描写は一切ないぞ。

おでん食べてるコマにご飯茶碗も見られないので、両八乙女家はおでんを主食として食べる派であるようだ。


終盤にはクリスマスプレゼントの展開が来た。

"あなたが寝ていないとお父さん困るでしょ" の台詞、最初読んだとき下ネタかと思ってしまったぜ……

下ネタは、八乙女ハルルが八乙女カイ家に泊まった方が "都合がいいし" の方でしたね。

クリスマスイブの夜に夫婦の営みがあると匂わせるシーン、氏家ト全先生の漫画の全クリスマスシーンの中でも一番生々しいかも。

お泊りがあるとか、保護者にスポットライトが当たるとかは予想が的中したけれど、この下ネタの生々しさは想定外。

なお、八乙女ナルミ夫妻の営みがこの日に行われるかを推測できる描写は無かった。


そして八乙女カイと八乙女ハルルの父親たちも作中に登場だ!

保護者にスポットライトが当たる回だろうとは予想していたが、まさか父親たちまでも登場するとはビックリ。

さすがの衝撃ゆえか、最終ページ柱のアオリ文句でも "両八乙女家の父親も登場(仮装で)!!" と言及してるほどだ。

氏家ト全先生の漫画って、主要登場人物の母親は姿を見せても、父親が姿を見せることって滅多にない激レア展開なので。

(最終回まで父親は一切姿を見せないパターンも予想してた)

卒業式のシーンとかでは仮装姿でなく素顔で一家全員お目見えしてほしいね。


エンターテイナーと評された八乙女ハルル父に協力して、八乙女カイ父はトナカイの着ぐるみ着用してるのはともかくさ。

14ページ2コマ目で、両八乙女家が6人全員1コマに収まって集合してるの良いよね……これがエモいというやつか。

クリスマスの日の思い出写真を残すならここというコマであろう。種付けの瞬間から撮ってる場合じゃないですよ八乙女ナルミさんよ。


そして今回の大オチ、ド直球の下ネタオチ! さすがに笑う。

"そっちの方が都合がいいし" の時点では匂わせ系の下ネタギャグかと思ったが……

まさかこんな、『濱中アイ』 や 『妹は思春期』の頃のようなストレートな下ネタが炸裂しようとは。

生徒会役員共』 では抑えられていたような直球勝負であろう、懐かしい気持ちになった。

よくよく見ると親指が空間にひっかかってる、つまりただの棒状じゃなくて引っ掛かるところある形状してるのもエグくて笑う。

モザイクのスクリーントーンそのまま貼り付けで形状は1ミリも描くつもりないのに、そこのリアリティは追及するとは。


最終ページは、まだクリスマスイブの深夜だろうけどその後の話。

八乙女カイと八乙女ハルルがクリスマスプレゼントに貰ったのは、2人とも "Monster Destroyer X" というゲームソフトであった。

おおっと久しぶりに作中ゲームソフトのモンデス (モンスターデストロイヤー) が登場だー。

パッケージのロゴを見るに、カプコン製のニンテンドーSwitchソフトっぽい。

さすがに元ネタだろうモンハンそのままではないが、モンスターハンター ライズのパッケージが割と似た構図だ。



ラストは一緒に同じゲームで遊ぶ約束をするほのぼのオチ。

それは良いのだけど、その際の台詞が "明日マルチモードやろーよ" という言葉になるのは、現代っ子らしさあるな……


今月の感想終了。

次回予告は "次回、冬休みあけのカイ君にまさかのトラブル発生!!" とのことだ。

展開を予想できるヒントはあまり無いな? 読者の自由な発想に任せるタイプの予告だ。

お正月は関係するのか? あるいは雪遊びネタか? 一体何だろう…… ここは思い切って、八乙女カイが精通する話を大胆予想だ。