・格闘ゲームにおける相撃ちの、コンボでの利用法をまとめてみた。
● 硬直軽減
「ある技から追撃したいのに、硬直が長すぎて追撃ができない」 という場合の利用法。
古今東西、相撃ちコンボで最もよく使われる王道の使われ方。
技本来の硬直時間 (ヒットストップ+ヒット以後の攻撃判定持続フレーム+攻撃判定終了後動作フレーム) より、
被ダメージ時の硬直時間 (ヒットストップ+のけぞりフレーム) が短い場合に用いられる。
「コンボを繋げるときに攻撃を喰らってどうする?」 と思ってしまうが、
バグ系のコンボでもない限り、"コンボが繋がる" とは "被ダメージ硬直時間中に攻撃が当たる" ことなので、
コンボを繋ぐ間に自分がのけぞっていても問題ない。
相撃ちする技には、ヒットストップが存在せず なるべくのけぞりフレームの少ない技が求められる。
究極系は 『鉄拳1』 で、相撃ちの1フレーム後から行動可能になる技がある。
『GGX』 シリーズのシステム:ロマンキャンセルは、硬直軽減をシステムとして用意したものと言えるだろう。
近年では、飛び道具追い掛けのために硬直軽減を利用する使い方が目立つ。
こちらが当てた打撃技に相撃ちを起こすのではなく、
「飛び道具を射出した直後に攻撃を喰らい、射出本来の硬直時間を軽減し、すぐさま飛び道具を追い掛ける」
という利用法だ。
また、被ダメージによるやられ状態は必ずしも地上のけぞりとは限らず、
「相手の浮かせ技と相撃ちして、自分は空中復帰してから追撃する」 というコンボも考えられる。
単純明快な利用法ではあるものの、コンボを構成する他の要素と組み合わせることで、コンボを大きく発展させられる。
シンプルにしてディープな利用法である。
● 技中断
「一度のコマンド入力で複数回攻撃する技を、途中で止めて別の技で追撃が出来ればいいのに」 という場合の利用法。
この利用法もまた、よく使われるのタイプの相撃ちだ。
例としては、空中の相手に2ヒット以上する昇龍拳タイプの技が挙げられる。
必殺技次第ではあるが、この手の技は最終段で相手の喰らい判定を消失させるものの、
1ヒット目から最終段の直前までは、相手に喰らい判定を残したままとなるケースが多い。
よって、昇龍拳タイプの技の途中で相撃ちを起こせば、そこから自分で追撃が出来る。
近年の有名どころは 『スト4』 シリーズのタイガーアッパーカットによる相撃ち。
相撃ちすればウルトラコンボまで連続ヒットさせられるため、
タイガーアッパーカットが全段当たるよりも結果的にダメージが大きい。
ゲームによっては、「製作スタッフがこの利用法を意図したのでは?」 と思える作りの技も存在する。
実例としては、『KOF』 シリーズの超必殺技:双掌昇陽が挙げられる。
双掌昇陽は初段で相手を長くのけぞらせ、二撃目で強烈な攻撃を叩き込むという二段技になっている。
ここで初段を地上の相手と相撃ちした場合、
相手が長時間地上でのけぞりながら自分は行動可能となり、ジャンプ攻撃からのコンボなど自由な追撃が出来るようになる。
乱舞系の超必殺技には、
「動作に相手を一撃で気絶させる攻撃が含まれている」 という技もあるため、
気絶させる攻撃で相撃ちが出来れば、コンボを大きく伸ばすことも可能。
● ダメージモーション利用
ここからはやや稀有な利用法に分類されそう。
「攻撃を喰らっている最中にしか出せない技を、コンボに組み込みたい」 という場合の利用法。
近年の格ゲーにおいてはコンボから脱出できるよう、
「やられモーション中にコマンド入力をすると、攻撃判定を周囲に発生させる」
といった類のシステムが用意されているケースがある。
通常、それらの攻撃判定をコンボに組み込むことはできないものの、
両者が同時にのけぞる相撃ちが起これば話は別。
「のけぞった自分側だけがコンボ脱出システムを発動して、まだのけぞっている相手に攻撃判定をぶち当てる」
といったコンボが出来る。
実例として、『餓狼伝ブレイクブロウ』 シリーズでは、
投げ外しが超必 (相手に投げられた瞬間にコマンド入力という超必) があり、
更にこのシリーズでは "常時スーパーアーマーで行動可能" というシステムを採っているため、
「相手を殴りつつ投げてもらい、投げ外しの超必に繋げる」 というコンボが出来る。
変り種では、『KOF2000』 。
「自ストライカーが画面上に出現していて、かつ地上受身できるダウン中に自ストライカーを呼ぶと、
自ストライカーが退却後に呼んでいないのに勝手に出てくる」 というバグがある。
よって、通常はストライカーを呼べないタイミングでストライカーを呼ぶコンボを成立させるために、
自分がコンボ中に地上受身を取れるダウンのやられ状態になるケースがある。
他に 『ストリートファイターEX』 シリーズでは、
リバーサルで必殺技を出すと、ボーナスとしてゲージの増加量が多めに加算されるため、
相撃ちせずに繋がるコンボでも相撃ちをしてダメージモーションを取ってリバーサルで必殺技を出し、
相撃ち無しよりゲージを稼ぐといった利用法がある。
● ヒットバック利用
「コンボを繋いでいる間に移動している時間は無いけれど、それでもどうにか移動したい」 という場合の利用法。
"硬直軽減" と併用して使われる比率が高め。
「相手を殴ると、相手が反対方向へ吹っ飛ぶ」 。
これがヒットバック。ノックバックとも呼ばれる。
被ダメージ時の衝撃のほどを表現するべく生み出されたシステムだと推察される。
格闘ゲームにおいては有って当たり前のシステムのため、空気や重力のように意識しにくいが、
『ファイナルファイト』 のような横スクロールアクションゲームでは、
地上やられのヒットバックは存在しなかったりする。
この利用法は、
「自分の背後から飛び道具が来るように調整して、正面にいる相手を殴りつつ、背後からの飛び道具と相撃ち。
背後からのヒットバックが生じて、自分は正面にいる相手側へ移動する」
という使われ方が多い。
よって 「ヒットバックが生じる方向は、必ず相手から離れる方向」というゲームでは、この利用法は使われにくい。
なお、「間合いが近過ぎては繋がらないコンボのため、相撃ちのヒットバックで相手から離れる」
というような利用法も考えられるものの、実例は思い浮かばなかった。
近年に考案された新しいパターンには、
『KOF』 シリーズの必殺技:ハートアタック を利用するものがある。
結論から書くと、飛び道具追い掛けの猶予フレームをこれまで以上に稼ぐことができる。
解説。
ハートアタックとは "一定時間後に爆発する爆弾を相手に取り付ける" という必殺技だが、
爆発のヒットバックが生じる方向は、キャラクターの位置が入れ替わっても、取り付けた時の位置関係に依存する。
よって、ハートアタックを喰らった自キャラが相手と左右の位置を入れ替え、
爆発直前に飛び道具を放てば、直後の爆発で飛び道具の出ている方向へ自分も移動できる。
間合いを詰められるうえ、"硬直軽減" の効果も同時に得られる。実に見事な方法だ。考案者を賞賛したい。
● ゲージ溜め
「コンボを繋いでいる間に、少しでもゲージを稼ぎたい」 という場合の利用法。
一口にゲージと言っても多種多様だが、
ここでは多くの格ゲーで仕様をほぼ共通とする、超必殺技を出すためのゲージ (超必ゲージ) に限定する。
基本的に、超必ゲージの増加を意識するのは自分が攻撃を当てた場合のみだが、
多くの格ゲーでは被ダメージ時にも超必ゲージが溜まる。
被ダメージ時の増加量は微々たる量であることが多いが、
ゲームによっては減った体力に応じて増加量が決まるため、有効活用できるケースもある。
実例では、『カプエス2』 のKグルーブ。
Kグルーブでは一度超必を撃てば超必ゲージが空になるが、自分の体力を大きく減らせばすぐにゲージが溜まるため、
相撃ちを用いて一度のコンボ中に二度超必を決めるコンボがある。
● 体力減少
「コンボ中に自分の体力を減らしたい」 という場合の利用法。
相撃ちの利用法の中でも、最も珍しいタイプと思われる。
格闘ゲームにおいて星の数ほどある必殺技の中には、
「自分がKOされると自動的に発動する」 といったタイプの必殺技が存在する。
このタイプの必殺技をコンボに組み込むには、
「相手をのけぞらせつつ、自分は相撃ちでKOされる。
そしてまだのけぞっている相手に、自動発動した必殺技をぶち当てる」 という方法しかあり得ないだろう。
実例として思い出せる利用法もこのタイプ。
『リアルバウト餓狼伝説スペシャルドミネイテッドマインド』 には自動発動の必殺技を持つキャラがおり、
自分はKOされつつ相手を気絶させることで、自動発動の必殺技をコンボとして繋げた。
この他に考えるなら、
『KOF1999』 のように 「体力が一定値を下回ると超必がMAX超必に変化」 というシステムを採ったゲームなら、
"体力減少" の利用法を用いて 「超必 (相撃ちで体力減少) ⇒ MAX超必」 とのコンボも可能と思われる。