劇場版 『生徒会役員共』 感想 (ネタバレあり)

ついに劇場版 『生徒会役員共』 の上映が始まりました!



氏家ト全先生がマガジンSPECIALで 『生徒会役員共』 の連載を開始されてから10年。

桜才学園の面々が銀幕デビューを果たしましたよ!!

観客動員数もよろしいらしく、入場者特典とかも早々に無くなった映画館もあるそうで。

やったね素晴らしい。

是非とも素晴らしい興行成績を上げて、氏家ト全先生のやる気や創作欲求の糧に繋がってほしいですよ。


さてそういうわけで、劇場版 『生徒会役員共』 の感想です。

映画って封切り日から何日くらい経ったら内容を詳細に書いて良いのか分からんね。

まぁこれを書いてるのは7月30日で 上映初日から一週間以上も経ってるから大丈夫だろう。

この記事の感想は、完全にネタバレありです。

パンフレットの内容や、入場者特典のビニ本風ミニ冊子の内容にも触れています。

劇場版 『生徒会役員共』 のあれこれを語りつくすつもりで書くぞ。


まずは映画のざっとした内容紹介から。

予告されたPVや紹介文では 「津田タカトシヘッドハンティングされて転校してしまう?」 という内容だった。

オリジナルストーリーを主軸に展開するとも読み取れるあらすじでしたが……

いやもう、内容は今までのテレビシリーズやOADそのままのアニメ版 『生徒会役員共』 だ!

もうこれ、基本はOADの内容そのままだよね。

ぶっちゃけ、上映時間60分のうち 津田タカトシの転校疑惑エピソードは7分くらいしかない。

残りの53分は OAD同様に氏家ト全先生の連載を元としたネタが繰り広げられている。

「原作未消化エピソード! たまったら出せ!! 中で!!」 までいつものノリで挿入されてくる。

OAD用に作ってた2話分が劇場版にあてがわれた感じ。


そうそう、"劇場版ならではの登場人物紹介" みたいなものも無いよ!

あまりにも 『生徒会役員共OADなどを視聴済みの人向けに作られているので、不安になったくらいだ。

(もしそんな人がいるとしたら だけど) 劇場版で初めて 『生徒会役員共』 を見た方は、人間関係が分からないのでは。

"姉さん呼びされてる魚見さんと津田タカトシ姉弟なの?" とか "ライフセーバーの人はメイドでもあるの?" とか思いそう

まぁ、不要な心配かー?

いやでも俺としては、劇場版で 『生徒会役員共』 を初めて知って原作の面白さに辿り着く人も増えてほしいしさー。


そしてメインの作中の個々の要素についての感想。

ついにこれから上映が始まるその瞬間、緊張のためなのか 一瞬にして気分が悪くなって人体の不思議を感じたよ!

そんな余談はさておき、TVアニメやOADとは違う制作というものを感じたよ

いつもより豪華に作られております。

OADによってはあったりなかったりする 「アリアのこれなーに??」 はあるし 「轟ネネのう.ん.ち.く」 もある。

ミニコーナーで特に笑ったのは、一番最後の 「Yokoshima Teacher English」 ですかね!

これが終わった瞬間エンドロールに突入して主題歌の 『青春ノンフィクション』 が流れ始めるのは最高すぎるでしょ。


あと5.1chの音響は確かにすごい。

『青春ノンフィクション』 の一部歌詞を後ろの座席に座った人も小声で歌ってるのかと一瞬勘違いしたほど (どうでもいい感想)


アニメオリジナルネタで良かった点と言えば、やっぱ天草シノのテレビインタビュー回答パートが一番に出てくるよ。

原作ではセリフが無くてどういう受け答えをしたのかは分からないのだが、ここに桜の花言葉の話題をチョイスしてくるとは上手すぎる!

言うまでもなく、『生徒会役員共*』 主題歌の 『花咲く☆最強レジェンドDays』 における歌いだしの歌詞、「桜の花言葉を知ってるか?」 に繋がるものですよ!

この繋げ方には感心した。

その他には、萩村スズの表情の変わりっぷりが良いよねー。

着替え中に生徒会室のドアが開いた一瞬の、萩村スズの照れ笑い焦りみたいなあの可愛さ!

清掃活動の始まりで生徒会として呼び掛けを行ってる時の、萩村スズの完全なる真顔の面白さ!

萩村スズはどちらかと言えば笑顔にならない人物なのに、意外にも生き生きとした百面相ぶりを見せるのが魅力の1つだよね。


ただ児童会役員共パートで原作には登場した小久保マサヒコ ( 『濱中アイ』 の登場人物) が消えてたのは残念かな。

まぁでも生徒会会則シーンにトリプルブッキング + 井戸田ヒロキ + 柏木レイコ社長がいたのは嬉しかったね!

『あかほん』 の面々は劇場版の公式サイトにまるでいなかったから、映画には一切姿を見せないものと思っていたしさー。


後半の津田タカトシの転校疑惑エピソード、あれ始まるとき 「脚本協力:氏家ト全」 とか出た時はテンション爆上げだった。

タイトルの右下にきちんと 「映倫」 って入ってたときもこみ上げるものあったけど、その比では無かったね。

というわけで、入場者特典のビニ本風ミニ冊子は 氏家ト全先生による転校疑惑エピソードの描きおろし漫画です。

今回の劇場版のために氏家ト全先生が描き下ろしたネームを、きっちり完成原稿まで仕上げた漫画ということであろう。

(※転校疑惑エピソード自体、映画化のために氏家ト全先生が描き下ろした内容)

これのネームを元に劇場版が作られたそうですが、それとは別進行で氏家ト全先生は完成段階まで持っていったのだと思われる。

劇場版とビニ本風ミニ冊子とでは セリフが一部違っているし (畑ランコのセリフとか) 。

森ノゾミが縛られたうえに手荒なことをされるのも劇場版のみ。

ビニ本風ミニ冊子では、森ノゾミは縛られないし、羽ぼうきでくすぐられたりもしない。


まあこの転校疑惑エピソードで最大の見所は、畑ランコの動きだよね!

劇場版の予告編でも見られるけれど、廊下を走ったり髪をはためかせて振り返るシーンがスゲェよ。

つーか畑ランコの髪の毛も乱れることがあるんですね (そりゃそうだ) 。

あと畑ランコ関係無いけど、五十嵐カエデがツッコミを2連続で入れることになってるのも笑う。


劇場版で最後にあった、夕陽の中で天草シノが津田タカトシにそっと耳打ちするエピソード。

あれは2017年9月発売の限定版単行本15巻に付属のOADに話が続くそうですよ。

もう完全に今までOADとか見てきた人向けの作りだな……

まぁそれはともかく、あれ天草シノが待ってる場所は2期のEDに出てくるのと同じ場所じゃないですか。

こういうところの小ネタが光るなーと思った。


小ネタといえば、この劇場版では背景に小ネタの遊びを入れてきているよね。

たとえば学園長室の歴代学園長写真。

実写の人物にいかにもな付け髭を装着させた写真が目に飛び込んでくるから、違和感がすごい。

あの写真って株式会社GoHandsの社員の人たちというのが順当なところだよな……

同じく、学園長室にある表彰状もネタに走ってる。

"尾奈浩二" という人 (うろ覚え) から桜才学園に贈られたような賞状だが、その日付が "1919年07月21日"。

言うまでもなく、イクイクオナニーの語呂合わせ。

桜才学園が創立51年という設定を無視してでもネタを入れたかった、ということだろう。


他には背景素材として、桜才校内新聞の文面が更新されたり、映画部の部員募集ポスターが新しく登場している。

"時代は一人ラブホ" の校内新聞以外にも、劇場版の冒頭にてドローンから撮影したらしい写真を載せた校内新聞もある。

ここ、そう来たかーと膝を叩いた。

バイブ付きドローンが登場人物紹介を兼ねた一発ネタでなく、ちゃんと新聞部の活動に役立ったと分かる背景だからね。

じゃあ畑ランコの目論見が完全に成功してたら女子更衣室の写真が載ってたのかよ、って話になるけど。


背景と言えば、背景モブとしては妙に目立ってる登場人物いるよね?

個人的にはこの辺。

 ・桜才生徒たちが登校するシーンで交差点を走っていく帽子を被った少女

 ・臨海学校の買い物で訪れた駅ビル前にいたサラリーマン

 ・同じく駅ビルの前や駅ビルの中にいた兄妹 (カップル?)

帽子を被った少女は、最初何か別アニメのオリキャラかなと思ったほど。

あと野球部ってことだろうけど、金属バットを持って通学している桜才女子生徒も何か引っかかる。


それはそうと、登場人物については気になった点があったりした。

劇場版の公式イラストあるじゃないですか、あの記念写真風な全員集合の方。

基本的に劇場版にて出番のある登場人物はあそこに全員集合してるのですが、青葉トオリは映画に登場しないのよ

記念写真風イラストでは確かに森ノゾミと天野ミサキに挟まれて立ってるのに、青葉トオリは劇場版に出ない。

一体どうした?

ついでに言えば、天野ミサキは 『児童会役員共』 パートだけでの登場なのに、公式イラストでは中学の制服を着ている。


うーん…… この公式イラストは劇場版の内容が固まる前に描かれたのかも。

もしくは劇場版の完成後に、いくつかネタがカットされたのか?

尺を縮めるために未公開となっちゃうシーンもあるだろうし。

バス停でさ、魚見さんが森さんを見送った後で何かに気付くようなシーンとかさ、思わせぶりで何も無かったしさ。

あれって続くネタがカットされたのかなーと思ってるのだけど、どうだろう?

あと萩村スズ母が登場するのに一言もしゃべらないのは、担当声優 (松来未祐) さんが2015年に亡くなったためか?

いやでも亡くなったの2015年で、劇場版公開が2017年夏なのだから、後継の人はとっくに選出されてるよな……?

謎だ。


登場人物といえば、この劇場版で小山先生のフルネームが判明した。

古谷さんのフルネームが "古谷サチコ" だとは先日判明しましたが、小山先生のフルネームは "小山リカ" ですってよ!

登場人物の下の名前が明かされない事が珍しくない氏家ト全先生の漫画。

長年不明だったフルネームがこの短期間に一挙に決まっていくとは、劇場版化の影響ってスゲェな……

あと、フルネームで思い出した話題。

この劇場版にアスカちゃん (ラジオ体操回などにいた子供) 出なかったね。

劇場版で出番があるから "ふじのあすか" というフルネームが決まったものかと予想していたのに。

ちなみに学園長については、権藤リキゾウというフルネームが折角あるのに スタッフロールなどでは "学園長" 名義。

細かい話ですみません。


もう細かいことついでに書いちゃうと、"ヨシくん" と "ナオちゃん" の名前が入れ替わってるというミスがあった。

桜才バカップルは、男子が "ヨシくん" で女子が "ナオちゃん" なのよ。

でもスタッフクレジットでは 男子が "ナオくん" で女子が "ヨシちゃん" になってる。

エンドロールでもパンフレットでも同様。

つーかそういや、ヨシくんナオちゃんには劇場版になってもフルネームが設定されなかったな。


そうそう、パンフレットは絶対買うべき!

氏家ト全先生が描きおろしの天草シノと魚見チヒロのダブル会長なイラストが1ページ丸ごとの大きさで載ってるぞ!

このサイズで氏家ト全先生のイラストを拝めることってそうそう無いからね!

この2人が選出されたのは、劇場版オリジナルエピソードを想定しての組み合わせだろうか。


また、パンフレットには 「氏家ト全先生に20の質問」 というQ&Aのコーナーもある。

初出の回答となるようなナイスな質問もあって、いくつか抜き出せば次の通り。

 ・なぜ「生徒会役員共」というタイトルにしたのですか?

 ・連載を開始してから、もっともうれしかった出来事は?

 ・「生徒会役員共」という作品を描く上で、心がけていることは?

 ・アニメから何か影響を受けたことはありますか?

 ・連載は今後も続いていくと思いますが、抱負をお聞かせください。

この辺どのような回答をするのかとかワクワクしちゃったね。

その他にも、金澤洪充監督をはじめとするスタッフさん数名へのインタビューも掲載。

一番気になった箇所だけ抜き出すとだな、



――氏家先生は、よくアフレコ現場に足を運ばれるのでしょうか?

日笠 氏家先生はアフレコにいらっしゃることは少ないのですが、お会いしたことはあります!


氏家ト全先生は制作現場を訪れたことあるのですってよ!

いいなあ。

アニメ製作チームに入れば氏家ト全先生に会えるかもしれないってことじゃないか……


それと最後に、氏家ト全先生の担当編集者さんについての話。

週刊少年マガジン2017年28号にて、氏家ト全先生は 「担当さん代わりました。」 とコメントされていた。

マガジンでは担当編集者さんが複数名つくらしいですが、一体どう交代になったのかなーと思っていたら!

その答えがスタッフクレジットに掲載されていましたよ。

今現在の氏家ト全先生の担当編集者は、千葉素久さん と 伊香淳一さん であるようだ。

千葉素久さんは言わずと知れた氏家ト全先生デビュー当時からの担当編集さんで、現在もマガジン副編集長のはず。

伊香淳一さんはどういう人なのかなと名前で検索すれば、めっちゃ情報が見付かったわ。

福本伸行先生の担当も務めていたりヤングマガジンの元編集長でもあるらしい

何か凄い経歴の人だな。

まあ連載に変な影響が出ることは無さそうっぽいので安心だ。


以上、劇場版 『生徒会役員共』 の感想でした!